『虎に翼』結婚&再会の幸せに満ちた第21週 朝ドラの“まるで最終回”な演出を振り返る
全てが綺麗にまとまった『舞いあがれ!』第16週
『舞いあがれ!』(2022年度後期)は、第16週に気分がワクワクするような急展開があり、視聴者から「今日、もしかして最終回?」という反応が上がった回があった。亡き夫・浩太(高橋克典)の遺志を継ぎ、「IWAKURA」の社長となった、ヒロイン・舞(福原遥)の母・めぐみ(永作博美)。だが、傾く経営に頭を悩ませていたところ、土地と工場を投資家に買ってもらえることになり、家賃を払うことで工場を続けていけることになった。その投資家とは、めぐみの息子で舞の兄・悠人(横山裕)だった。 工場では、従業員の奮闘で試作品のネジが合格の判定を受け、大量注文が入り、退職した章(葵揚)もIWAKURAに戻ってくる。一方、五島では不登校だった朝陽(又野暁仁)が学校に通えるようになり、五島で暮らしていた貴司(赤楚衛二)は東大阪に戻る。そして、姿を消していた古本屋「デラシネ」の店主・八木(又吉直樹)が現れ、貴司に店の鍵を託した。舞が笑顔になる、とても爽快感のあるこの急展開は、『なつぞら』や『エール』ほどではないが、どこか最終回のような演出だったのではないだろうか。 『らんまん』(2023年度前期)は、第13週に主人公・万太郎(神木隆之介)の祖母・タキ(松坂慶子)が、この世を去るエピソードがあり、万太郎の亡き母・ヒサ(広末涼子)も思い出の中のシーンに登場するという感動的な場面が描かれた。万太郎と寿恵子(浜辺美波)が祝言の日を迎えた次の回で、タイトルバックなし、終盤にエンドロールが流れるという演出が行われた。 タキは万太郎に受け継ごうと造り酒屋「峰屋」を守ってきたが、植物学者の道を歩む万太郎は、姉・綾(佐久間由衣)とその伴侶となる竹雄(志尊淳)に峰屋を譲渡する。タキは最期に「らんまんじゃ」という言葉を残し、万太郎や綾、竹雄らの人生の分岐点が描かれた。 折り返し地点や、放送が残り1カ月程度となったくらいに登場する、朝ドラの恒例とも言われる“まるで最終回”演出。『虎に翼』もあと1カ月ほどで本当の最終回を迎えるが、とりあえずはお約束の演出を楽しみつつ、ラストにどのような展開が待ち受けるのか、引き続き寅子の奮闘を見守りたい。
清水久美子