避難所「快適な場所ではない」 さいたま市で防災展 避難所体験コーナーでスペースやトイレの状況など知る トイレは水使えず、劣悪な環境になることも
大人も子どもも防災を楽しく学ぶ「南区防災展2024 避難所を体験してみよう!」が15日まで、埼玉県さいたま市南区のサウスピア1階で開催されている。 南海トラフ地震で埼玉、南部で震度5強の恐れ…対策推進地域に含まれないが、強い揺れの予想
南区の総務課防災・防犯係と防災アドバイザーが協力し、毎年この時期に行われている防災展。今年は初めて避難所の体験コーナーが設けられた。初日の13日には、多くの市民が訪れ「一人分スペースがどれくらいあるのか」「トイレはどんな様子なのか」など、実際の避難所の設備を体験した。 市で決められている避難所での居場所は一人2平方メートル。会場にはビニールシートが敷かれ、その上をテープで区分けした3人分の避難所が出来上がった。毛布は一人1枚、ビスケットが一つ支給される。間仕切りや段ボールベッドなどは、避難物資の到着を数日待たなければならない。 防災アドバイザー南区協議会の西川保副会長(71)は「スフィア基準(国際的な基準)の3・5平方メートルに比べるとだいぶ狭い。水もなく食料品もないので、避難所に来る時に3日分くらいは用意してきてもらわなければならない」と話す。 避難所のトイレも水が使えない状況で多くの人が利用するため、劣悪な環境になるという。掲示された実際の避難所の写真を見た70代女性は「これは嫌だわ。家で用意しなきゃ」と顔をしかめた。会場で避難所体験をした人には、家で使えるビニール袋と凝固剤、消臭剤のトイレベンリー袋のお試しセットが配られた。
会場ではそのほか、感震ブレーカーの実演や家具転倒防止ワークショップなども行われた。 2歳の子どもを連れて訪れた袖澗夏希さん(43)は「小さい子がいるとやっぱり避難所での生活は大変だと思う」と話した。南区総務課の野口和彦課長は「避難所が快適な場所ではないと実感してもらい、在宅避難をするための日頃の備えを心掛けてもらいたい」と説明した。 15日は、起震車や拡張現実(AR)浸水体験もできる。開催時間は午前10時から午後4時まで。