ロック様は「善悪を超越したカリスマ」ドウェイン・ジョンソンが22年前に乗り越えた“異変” 伝説のレッスルマニアは「夢のような時間」だった【塩野潤二アナ連載#5】
昨年10月、SNSの総フォロワー数が世界で10億人を超えるアメリカが誇る世界最高峰のスポーツエンターテイメントであるWWEのメイン大会「RAW」と「SMACKDOWN」の放送が日本で開始された。さらに先月27日(日本時間28日)に行われた「ロイヤルランブル」以降は、放送席の陣容を一新。自他ともに認める“WWEフリーク”の塩野潤二アナウンサーらが加わった。そんな塩野アナが、自らの実況回ごとにWWEの魅力や楽しみ方を振り返る連載コラム。第5回目は現地で体感した年に1度の祭典「レッスルマニア」の秘話に迫る。キーワードは「善悪を超越したカリスマ」。 【映像】“超希少”若きレスラー時代のドウェイン・ジョンソン
忘れられない『ザ・ロックvsハルク・ホーガン』の秘話
レッスルマニア・デイ1で『史上最大のタッグマッチ』が決定しました。 コーディ・ローデス&セスロリンズvsザ・ロック&ローマン・レインズ。ハリウッドスターのドウェイン・ジョンソンこと51歳のザ・ロックが、現役WWEスーパースターのトップ3と交わる奇跡の一戦です。 俳優のドウェイン・ジョンソンしか知らないという方もいると思いますが、そんな方にまず見て頂きたいのは、ロックの必殺技『ピープルズ・エルボー』です。 まずネーミングが素晴らしい。実況アナウンサーとして言いたくてたまらない技名です。しかし初めて見た時は、ただのエルボードロップじゃん! と思いました。…いや、そういうことではない。カメラ目線のあの顔、技に行く前になぜか相手を足でセットし直す仕草、ロープの勢いをつけたのに、なぜか相手の前で止まってからのエルボードロップ。 何度見ても興奮します。今すぐ検索してご覧になってみてください。 このようにロックのエピソードは山ほどありますが、今回は私がカナダで観戦した伝説の試合、レッスルマニア18での『ザ・ロックvsハルク・ホーガン』の秘話をお伝えしたいと思います。 2002年当時、ロックとホーガンはWWEの新旧の『ICON(象徴)』と呼ばれ、その対決は『ICON vs ICON』と宣伝されました。 ホーガンは、WWE初期のICON。彼のファンは『ハルカマニア』と呼ばれ、WWEを超えてアメリカのヒーローとなりました。その人気にかげりが見え始めた頃、ホーガンはライバル団体のWCWへ移籍。『nWo』で再ブレイクし、悪くてクールな"ハリウッド"ハルク・ホーガンとして復活します。 その黒のホーガンが、nWoのケビン・ナッシュとスコット・ホールを引き連れ、外敵としてWWEへ戻って来たのです。そして、当時のWWEの主役だったロックとの対戦が決定します。新旧スターによる世代闘争というわかりやすい構図でした。 レッスルマニア前のホーガンは悪の限りを尽くし、ロックの乗る救急車にトレーラーで突っ込むなどnWoが大暴走。映画か! ちなみにその救急車は、レッスルマニアウィークのファンイベント『アクセス』で展示され、私も間近でそれを見ました。 この時WWEが描いたのは、WWEを守ってきたロックがヒーローで、出戻りのホーガンが悪党というストーリーでした。 そして、忘れもしない2002年3月17日の『レッスルマニア18』。カナダ・トロントのスカイドーム。68000人の観客の1人として私も会場にいました。 あの時は、最初から会場内の空気が異様でした。