北海道からアンモナイトの魅力発信 石狩の画家・福岡幸一さんの作品展
【北海道・札幌】センチュリーロイヤルホテル(札幌市中央区)で、8月31日まで催されているクビナガリュウやサッポロカイギュウの「化石展」。今回で5回目を迎えるこのイベントに、今年は札幌の隣・石狩市在住の画家、福岡幸一さんの「アンモナイト版画展」も同時に開かれています。
アンモナイトの多様性に惹かれて興味を持つ
福岡さんは北見市出身の画家で、1966(昭和41)年には全道展で奨励賞(油彩)、1968(昭和43)年に知事賞(版画)などを受賞してきました。その福岡さんがアンモナイトに出会ったのは、民間研究者である二本木光利さんが著した『わたくしとアンモナイト』という本との出会いが1978(昭和53)年のことでした。 「アンモナイトの持つ“多様性”に惹かれました。北海道は良質なアンモナイトの産出地で、どんどんはまってしまって1984(昭和59)年に札幌中央化石研究会という同好会に入り、先輩との化石採集もしました。特に北海道は、アンモナイトが生息していた時代の中では白亜紀後期の始めころ、この時期はアンモナイトがいろいろな形に変化していて、画家としては特に興味を持ちました。その後、アンモナイトの専門書がなかったので、自分で作る決心をしました。それが2000(平成12)年に出版された『北海道アンモナイト博物館』です。実は、古生物学の大学教授の中にも愛読者がいるこの界隈では有名な本なんですよ。」(福岡さん) その『北海道アンモナイト博物館』は、北海道のアンモナイトを系統的に分類・網羅した本となりました。
どういうメッセージをもらうのかが版画を制作するモチベーション
『北海道アンモナイト博物館』を制作している最中は、アンモナイトをどう版画にするかというイメージがつかなかったといいます。そこで、これまで制作してきた「果樹」と「アンモナイト」の版画制作を両立しようと考えスタートしました。しかし、すぐに両立ではなく「アンモナイト」にどっぷり取り組む事になりました。 「私のモットーは『チャンスが来たら逃さない』。ここまでアンモナイトにのめり込んだので本を越える版画を制作しようと思い、これまで組作品を含め308点のアンモナイトの版画を制作、今は同時代の化石の版画にも取り組んでいます。」(福岡さん) 今回は、北海道産出のアンモナイト50属(50版)で、7つの産出時代の組絵にして展示しています。 この夏、北海道中川町、島根県でもアンモナイトの版画展を開いた福岡さんに、これからの展望を伺うと…、「私の仕事はアンモナイトの魅力を伝えることだと思っています。そして、北海道は世界に誇るアンモナイトの産出地ですので、これからもここ北海道からアンモナイトの“多様性”を発信していきたいと思います。」(福岡さん) (ライター・橋場了吾)