「目標を紙に書いて壁に貼る」は科学的に正しい…目標を書いた人と書かなかった人では達成率が違う理由
■手を動かして書き出すことで「約束」の重みが増す さらに、「書く」ことにも着目してください。 ただ見たり、タイピングするよりも、手書きで勉強するほうが脳を刺激できるので効果的だったり、脳内のモヤモヤが整理できるので、メンタルヘルスやワーキングメモリの機能の向上に効果的だとする研究も多数あります。 マシューズの研究は、そんな手書きの効果と「約束」の重みを結びつけているわけです。 目標を書かず、ただ思い浮かべるだけのグループAは、一番軽い自分との約束です。 自分の誇りは傷つくかもしれませんが、失敗してもバレずに済みます。 グループBも自分との約束ですが、手を動かして紙に書くと、より重い約束になります。また、冒頭で触れたように、書くだけではなく部屋などに貼り、毎日目につくようにするとより効果的です。 さらにグループCでは、目標達成の道筋に必要な行動を明確にするので、自分をより追い込むことができます。 友人に見せるグループDまで来ると、バレずに目標を投げ出すことができなくなり、恥をかきたくなければ目標に向き合うしかなくなります。 そしてトドメのグループEは、さらに「目標達成に必要な行動」をちゃんとやっているかまで他者と共有することになるので、さらにサボりにくく、たゆまぬ努力が求められる形になるわけです。 このような理由から、目標を可視化(できれば手書きで)して、その内容を人に話して共有することが、行動の強制力を生み出すことになり、最終的に目標達成の確率を上げられるのです。 進捗まで共有するのはハードルが高いですが、紙に書いて貼ることはすぐにでもできそうではありませんか。 ---------- 堀田 秀吾(ほった・しゅうご) 明治大学法学部教授、言語学博士 1968年、熊本県生まれ。シカゴ大学言語学部博士課程修了。ヨーク大学ロースクール修士課程修了・博士課程単位取得満期退学。専門は、司法におけるコミュニケーションの科学的分析。言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を横断した研究を展開している。テレビのコメンテーターのほか、雑誌、WEBなどでも連載を行う。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』(アスコム)など、著書は50冊を超える。 ----------
明治大学法学部教授、言語学博士 堀田 秀吾