台湾人元日本兵の抑留体験まとめる 書籍出版の楊さん「戦争の悲哀考えさせられる」
(台北中央社)日本兵として第2次世界大戦に参加し、戦後はシベリアに抑留された頼興煬さんの体験をまとめた書籍「有一天我会回家」が今秋、台湾で出版された。著者で台北教育大学の楊孟哲教授は中央社の取材を受け「戦争の悲哀について考えさせられる」と語った。 楊さんは2018年に頼さんを題材にしたドキュメンタリーを制作。当時94歳だった頼さんがシベリアを再訪する様子に密着した。これまでに海外で開かれた複数の映画祭で受賞歴がある。今回出版された書籍では頼さんの生い立ちや抑留中や戦後の暮らしなどをまとめ、新たにイラストの他、ロシア科学アカデミーが収蔵する写真も掲載した。 台湾では台湾人日本兵に関する研究や記述の多くが南洋に集中し、シベリアに言及するものは極めて少ないと楊さん。台湾人の視点から3年半の強制労働を見たとし「生命力と客家人の精神の粘り強さを知られる」と語った。 (黄旭昇/編集:齊藤啓介)