京都一条「晴明神社」参拝 安倍晴明と〝命が戻る〟戻り橋 政局に大きな影響を与える野心家の陰陽師
【続「光る君へ」外伝】 私は2007年にNHKを退職した後、ご縁をいただいて、京都市左京区にある「京都芸術大学」(旧・京都造形芸術大学)に、教授としてお世話になっている。10年に、東京・北青山に外苑キャンパス(東京芸術学舎)ができたので、それ以来、普段の授業は東京で行っている。 ただ、大学本校の入学式や卒業式は京都で行われるため、私は17年連続で、年に必ず一度は京都に行っている。 その時に参拝するのが、京都一条戻り橋近くの「晴明神社」である。07年、第2の人生の出発に当たり、その平安を希(こいねが)って訪ねた。親しい人に「ここに行くと強い気を頂ける」と勧められたのだ。 御祭神は安倍晴明(あべのせいめい)。陰陽師(おんみょうじ)として朱雀天皇から一条天皇までの6人の天皇に仕える天文(てんもん)博士。政局に大きな影響を与える野心家の陰陽師と言っていいかもしれない。 NHK大河ドラマ「光る君へ」では、俳優のユースケ・サンタマリア氏が演じている。朝廷が重要な決断を要するとき、晴明は陰陽五行説や天体観測などをもとに、その決断についての吉凶を判断する。それが、みんな「当たる」ものだから、だんだん畏怖される存在になっていく。 男子フィギュアスケートの羽生結弦選手は2015年のNHK杯で、総合322・40点という驚異的な世界最高得点で優勝した。彼のフリープログラムのバックに流れていたのは、晴明をモチーフにした曲「SEIMEI」であった。 晴明神社に行くときは、タクシーに乗って「一条戻り橋」と言えば、正面に着く。この戻り橋は何が戻るかというと、「命」が戻るのである。 一条通りの堀川に架けられた戻り橋。長さは6メートルくらい。橋の歴史は古く、「鳴くよウグイス平安京」の794年、平安遷都の年に架けられたという。もちろん近年、架け替えられた。 いくつかある「伝説」の中から、代表的なものを取り上げる。 昔、文章博士(もんじょうはかせ=大学寮の教官)をしていた人の息子で、修験道(=山岳で厳しい修行を行うことで悟りを得る山岳信仰)を極めた者がいた。ある日、修行中の彼に「父死す」の報が届く。急ぎ都に戻った彼は、その途中で父の葬儀の列に遭う。
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