【都市対抗予選】継投準備も「投げきりたかった」七十七銀行・西舘洸希、続投志願し2失点完投
<都市対抗野球2次予選東北大会:七十七銀行5-2日本製紙石巻>◇9日◇第1代表準決勝◇岩手・きたぎんボールパーク 七十七銀行(仙台市)が日本製紙石巻(石巻市)を5-2で破り、14年ぶりの第1代表決定戦進出を決めた。 先発の西舘洸希投手(23=筑波大)が2失点9奪三振で完投。打線も長田駿介外野手(28=富士大)の2ランなど8安打5得点で快勝した。JR東日本東北(仙台市)は、大西蓮内野手(22=履正社)の本塁打を含む3安打3打点の活躍でTDK(にかほ市)に4-3で競り勝った。両チームは明日11日、第1代表決定戦(きたぎんボールパーク・午後1時)で対戦する。 ◇ ◇ ◇ 西舘は最後までマウンドを守った。最終回。1点を失い、なおも1死一、二塁。3点のリードはあったが、チームは継投の準備を始めた。「決勝で先発する可能性のある投手が控えていたので、決勝で勝つためにも負担をかけないように自分が投げきりたかった」と続投を直訴。152球目。最後の打者を空振り三振に仕留めると安堵(あんど)の笑みを浮かべた。 第1次予選宮城県大会の準決勝で敗れた相手に、リベンジを果たした。西舘の終盤の踏ん張りについて、杉森智幸監督(46)も「あの場面でもう1度自分を奮い立たせてスイッチを入れ直し、先発としての責任を果たしてくれた」と振り返り、称賛した。 昨季から制球力が課題だった。「真ん中でもファウルを取れるように強いボールをつくってきた」と、冬場は常に真ん中に投げ続ける練習を積み重ねた。さらに決め球でもあるフォークにも磨きをかけ、緩急のある投球でアウトの山を築いた。チームを勝利に導き、仲間と笑顔でタッチを交わした。 岩手県一戸町出身の右腕で、地元の声援も受けて白星をつかんだ。「スタンドや試合後も応援の声をかけてもらった」と感謝。家族は、弟で23年ドラフト1位の巨人西舘勇陽投手(22)の応援のため駆けつけられなかったが、次は自分が東京ドームのマウンドで腕を振るう番と意気込む。16年ぶりの第1代表での都市対抗出場まであと1勝。本大会行きを決めて地元も明るく照らす。【木村有優】 ◆西舘洸希(にしだて・こうき)2000年(平12)6月27日生まれ、岩手県一戸町出身。盛岡第三、筑波大を経て、23年に七十七銀行に入社。昨年の都市対抗野球大会の初戦東芝戦で先発し全国デビュー。弟は23年巨人ドラフト1位勇陽。右投げ右打ち。186センチ、96キロ。