女子ボクシング新王者、タイトルのこだわり「あまりない」 WBOアトム級の鵜川菜央さん
三迫ジムは男子ボクシングでは輪島功一さん、三原正さん、友利正さんらの世界王者を輩出した名門だ。 練習は月曜日から土曜日まで毎日3時間。平日は東京都渋谷区にあるバレーボール協会の仕事を終えた後、練馬区の三迫ジムに向かう。 ▽バレーボール協会がサポート バレーボール協会では現在、ハイパフォーマンス推進部に所属。選手が日本代表として活動するのをサポートしている。 プロボクサーは本業以外で収入を得る副業になり、バレーボール協会は活動を両立できるように雇用形態も含めてさまざまな形でサポートしてきた。 さらに、試合には毎回20~30人の職場の仲間が駆けつけてくれるという。今年6月の王座決定戦も20人余りの同僚が応援した。 「職場の理解と応援はめちゃめちゃしてもらっています。(協会の)ほとんどの方が応援してくださっています」と鵜川さんは感謝の念を込めた。 ▽元A級プロが指導 三迫ジムでは現在、加藤健太チーフトレーナーから指導を受けている。 加藤氏は元A級プロボクサーで、2019年度最優秀トレーナー賞を受賞した経歴を誇る。体重46・26キロが上限となるアトム級で闘う鵜川選手に望むことは「筋力をより付けることだ」と話す。
加藤氏によると、現状の鵜川選手は「技術的にはまあまあいい線を行っていても、相手がパワープレーというか、身体を寄せてきた時に耐えきれない」と指摘する。 その上で「うちにはWBO女子スーパーフライ級世界チャンピオンの晝田瑞希選手がいるが、体つきも違うし、相手のパンチに耐えられるだけの体をしている。鵜川ももう一回り、二回り大きくならないと」と〝肉体改造〟を課題に挙げた。 加藤氏の指示に従って鵜川選手は、晝田選手と同じフィジカル強化の専門家の指導を受けている。 鵜川選手は「自分の体重やウエートトレーニングによる筋力アップが中心で、まずは腹筋、背筋、臀部など大きい筋肉を鍛えて、相手のパワーにも耐えることができ、また逆に相手の芯がぶれるようなパンチを打てる身体作りを目的にしている」と説明した。 ▽「世界レベル」と太鼓判 WBOアジアパシフィック王者になったことで、次の試合に期待が掛かる。 加藤氏は鵜川選手について「技術はあるし、よく練習するからスタミナは全然問題ない。その部分では世界レベルだ」と太鼓判を押す。