ひまわり学生運動から10年 90年に民主化求めた起業家「時代の先駆け」/台湾
(台北中央社)中国とのサービス貿易取り決めを巡り、学生らが撤回を求めて立法院(国会)を占拠した2014年の「ひまわり学生運動」の発生から18日で10年を迎える。第2次世界大戦終了直後の発足から改選されることがなく、「万年国会」とやゆされた国民大会の解散などを求めた1990年の「野百合学生運動」で代表的人物の一人として活躍した起業家の周奕成さんは中央社の取材に対し「時代の先駆けとなり、過去30年間中国に依存していた経済と貿易の考え方にピリオドを打ち、世界に対して警鐘を鳴らした」と評価した。 周さんは、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、グローバル化ブームが起き、両岸(台湾と中国)の経済統合が叫ばれるようになったと分析。その中でひまわり学生運動が経済や貿易の過度な中国依存に危機意識を抱かせ、18年には米中貿易摩擦が起き、20年には世界貿易を巡る情勢は大きく変わったと語った。 だがその一方で「不可逆的な政治改革につながらなかった」とし、サービス貿易取り決めに関する審議の中止に成功したものの、今後別の政権が再び審議の再開を図る可能性があると危機感を示した。 米中対立が続く中、今後30年は緊張の時代に入るだろうと語る周さん。ひまわり学生運動のような大規模な学生運動は起こらないだろうとしながらも、さまざまな規模の社会運動が次々と起こる可能性があるとし、執政者が必ず直面する課題だと語った。 (黄雅詩/編集:齊藤啓介)