中国の「独身の日」、今年の目玉は「砂漠の魚」
【東方新報】今や中国で11月11日といえば、「独身の日(ダブルイレブン)」という本来の意味よりも、ネットショップの大安売りキャンペーンとして知られている。元はといえば、「1」が四つ並ぶ日に合わせ、ショッピングは独りで楽しめるという狙いでEコマース大手阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)の淘宝(タオバオ、Taobao)が仕掛けたものだが、競合他社も追随してすっかり定着した。 大手の京東(JD.com)は、100億元(約2047億円)補助と称する割引キャンペーンの対象商品を8億点に広げる。同社は、迅速なサービスを目指し消費者と出荷者を3キロから5キロの範囲内で完結させる流通スタイルを試行しており、それも強みとしたいところ。 アリババグループの天猫(Tmall)は、買い上げ額300元(約6141円)ごとに50元(約1023円)が値引きされる好評のサービスを今年も基本とする。また、まとめ買いなどではなく一点からでも値引きの対象とするサービスも展開し、8000万点以上の商品が年間を通じた最安値となる見込みだという。 各社がしのぎを削るキャンペーンの中で目を引くのが、天猫が主催する新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)福海県(Fuhai)での「開漁祭」。ゴビ砂漠(Gobi Desert)が広がりアルタイ山脈(Altai Mountains)を臨む複海県で、魚やカニなどの新鮮な魚介が手に入るという意外性に加え、それらの生鮮品を48時間以内に全国の消費者のもとに届けるという点にも驚かされる。 福海は内陸部にありながら近年では「大砂漠の魚の郷」と呼ばれるほど、魚介類の養殖が盛んという。アルタイ山脈から流れるエルチス川とウルングル川の冷たい水を生かし、養殖池は200以上。魚やエビ、近年では高値で取引されるカニも養殖されるようになった。冬には気温がマイナス35度にもなる条件の中で育つ魚やカニは「成長は遅く大きくはないが、食感がとても良い」という。 ただ、この地域の水産業にとって輸送とコールドチェーンが課題だった。同自治区の中心都市ウルムチ市(Urumqi)まで運んでも4時間は必要だ。 天猫はこの課題を克服したのだった。同社は新疆産の魚介は一部で高い人気があるにもかかわらず取り扱うEコマースがなかったことに着目し、2か月余りの現地調査を行った。その結果、現地業者らと提携してコールドチェーンを整え、魚介をアルタイ地区からチャーター便で直接北京まで運び、そこから全国各地に配送するという仕組みを築いた。同社では、独身の日のセール期間を通じ100万元(約2047万円)程度の売り上げを見込んでいるという。 ある中国メディアが、今年の独身の日セールで買い物をするつもりかどうかについてアンケートを実施したところ、最も多かったのは「買い物しない」と答えた人で、次に多かったのは「状況を見て」と答えた人だったという。ただ、過去の例に従えば、セール期間が終わる頃には誘惑に負けてしまっている人がほとんどだ。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。