金正恩氏40日ぶり動静 払拭された「監禁説」「脳死状態説」/辺真一「コリア・レポート」編集長
肝入りのモランボン楽団の音楽会を鑑賞した9月3日を最後に動静が途絶えていた金正恩第一書記が10月13日、衛星科学者住宅地区を視察し、40日ぶりに姿を現した。
2012年6月の「24日間」を更新
過去に3週間以上も動静が伝えられなかったのは2012年(6月7日~7月1日までの24日間)に一度あっただけだ。今回、それを大幅に更新したことになる。 当時も原因は不明だった。ところが、2週間後の7月15日、金第一書記の後見人の一人と目されていた李英鎬人民軍総参謀長の解任劇があった。そんなことから今回も韓国では「クーデターが発生して軟禁されているのでは」との憶測が飛び交った、 故金正日総書記が2008年に47日間も姿を現さず、9月9日の建国60周年にも欠席し、大騒ぎになったことがあるが、後に脳卒中で倒れていたことが判明した。そうした前例もあって金第一書記も「脳卒中で倒れ、脳死状態では」との怪情報も流れた。
動静が長く途絶えた原因は
今回、健在が確認されたことで「監禁説」も「脳死状態説」も払拭されたことになる。では、この期間、建国記念日(9月9日)の行事にも、最高人民会議(9月25日)にも、そして労働党創建日(10月10日)の恒例の錦繍山太陽宮殿参拝に欠席した理由は何か?杖を手にしていることからして、足を負傷し、歩行できなかったことに尽きるのでは。 映像で確認する限り、金第一書記が足を引きずっていたのは7月5日の松濤園国際少年団キャンプ場を視察した時からだ。足場の悪い所を視察した際に捻挫したか、あるいは痛風ではないかとみられていた。 しかし、8月に入ると、今度は右足を引きづっていた。 痛風程度ならば、痛みが引けば、直ぐに公務に復帰できたはずだ。また両足とも捻挫するというのも不自然だ。結論として、韓国では足首を痛め、手術したとの説が有力だ。 金第一書記は、その後も、杖を持ったまま金策工業大学教育者アパートの視察(16日)、そして空軍部隊の視察と仁川アジア大会などで活躍した選手らとの接見(18日)など精力的に動いているが、長期不在によって体制にタガ緩むことへの危惧と、完治しないまま「不自由な体」で視察を続けることで国民から同情を買えるとの計算も働いているようだ。