アル・パチーノ、コロナ感染で生死をさまよう「もう終わりだと思った」 回顧録で振り返る
伝説的俳優アル・パチーノが、新型コロナウイルス感染症との壮絶な闘いを明かした。米ピープル誌の取材で、一時「脈がなくなる」ほどの危機的状況に陥っていたことを告白。10月15日に発売される回顧録「ソニー・ボーイ(原題)」でその詳細が綴られている。 「ゴッドファーザー」シリーズや「セルピコ」「狼たちの午後」「スカーフェイス」など数々の名作で知られる演技派のパチーノは、1992年の「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」でアカデミー賞主演男優賞を受賞。半世紀以上にわたりハリウッドの第一線で活躍を続けてきた。 パチーノがコロナに感染したのは、ワクチンが広く普及する前のことだった。急速に悪化し、ある時点で脈が検出できなくなったという。「本当に死んでいたかどうかはわからないが、みんなは私が死んだと思っていた」と、当時の切迫した状況を振り返る。 意識を取り戻した時の光景を、パチーノは鮮明に記憶している。「目を開けたら、リビングルームに6人の救急隊員がいて、玄関の外には救急車が待機していた。まるで火星にいるような宇宙服を着た2人の主治医もいた」と、その異様な光景を生々しく描写する。 「もう終わりだと思った。シェイクスピアの『ハムレット』の言葉を借りれば、『もはやこれまで。生きるべきか、死ぬべきか』だ。そしてハムレットは『もはやこれまで』と繰り返す。私もまさにそう感じた。『もう終わり』なんだと。生きることも、この世界にいることも、すべてが終わりを迎えたような感覚だった。でも、実際はそうではなかった」 驚くべきことに、この生死を分けた経験が彼の人生観を大きく変えることはなかったという。「まったく変わっていない」とパチーノは断言する。長年にわたる俳優人生で培われた精神力や、人生に対する独自の哲学が関係しているのかもしれない。 パチーノの波乱万丈の人生を綴った回顧録「ソニー・ボーイ(原題)」は、10月15日に全米で発売される。