【阪神C回顧】アイルハヴアナザー産駒は芝重賞2勝目 血統から見えるウインマーベルの適性とは
夏場にピークを迎える難しさ
阪神で後半が失速ラップとなれば、急坂で前後が大きく入れ替わる。2着グレナディアガーズはスタート五分も序盤の行きっぷりが悪く、後方待機。結果的にこの位置取りがハマった。R.ムーア騎手が先入観なく、馬の行く気に任せたことが功を奏した形だ。直線の走りは迫力十分で、やはりグレナディアガーズにとって阪神芝はベストだった。朝日杯FS勝ち、阪神C(21~23年)を1、2、2着と特に暮れに強い。リピーターが強い阪神Cを象徴する現象でもある。グレナディアガーズは今年で引退だが、来年の阪神Cも今年の結果や傾向を頭に置いて、予想しよう。 3着アグリは阪急杯の勝ち馬。当時は好位2番手から前後半600m33.9-34.3を抜け出した。今回は中団待機で上手くハイペースを味方につけたともいえるが、ベストは阪急杯のような軽いレースだろう。ウインマーベルとの差は適性の違いであり、流れや馬場が変われば、逆転は十分考えられる。 1番人気ママコチャは5着。スプリンターズS覇者とはいえ、経験は1400mの方が豊富で、適性はあると思われていた。実際、ハイペースを好位で流れに乗り、競馬のスタイルとしてはスマートだった。最後にひと伸びできなかったのは、ハイペースに泣いたというより、冬場の状態面ではないか。スプリンターズSと阪神Cは間隔が2カ月半空くため、相性がよくなく、2013~22年まで【1-1-0-12】。夏場に研鑽し、GⅠでピークを迎え、さらに冬に体調を上げていくのはGⅠ馬とて、簡単ではないということだろう。今回は致し方なし。この敗戦で評価を下げる必要はない。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳