45人死傷の相模原事件、植松聖死刑囚が拘置所のチェックをくぐり抜けた作品とは
溝上死刑囚の作品の中には、死刑執行のときに使われる絞縄を首に巻き付けた人物が描かれた絵もある。人物のそばには「Painful(痛い)」や「I can’t afford to die(死ぬわけにはいかない)」などと書かれている。 井上孝紘死刑囚(39)が送付してきた、封筒に書かれた絵を同封の指示書通りに、事務局で組み合わせると、入れ墨が彫られた腕ができあがった。井上死刑囚は、2004年に福岡県大牟田市で母子ら4人が殺害された事件で死刑が確定した。 ▽執行された元死刑囚の手法に挑戦 「故加藤智大君(東京・秋葉原無差別殺傷事件で死刑確定、22年7月に死刑執行)が得意としたイラストロジックに挑戦してみました」として、白と黒のマス目で清水寺や厳島神社などを描いたのは、ペンネーム「中田典広」。前回に続き、2度目の応募という。 1993年の埼玉・愛犬家ら連続殺人事件で死刑が確定し、再審請求を続ける風間博子死刑囚(66)は表現展の常連で、今回は鎖を握りしめる手を描いた絵など4作品を送ってきた。
同様に無実を訴え、再審請求中の金川一死刑囚(73)が寄せた自画像には「73歳のはじめです」「早く春よこい」などと書き込まれている。熊本県免田町(現あさぎり町)で1979年、女性が殺害された事件で逮捕されてから44年間、獄中で過ごしてきた。 1970~73年に「殺し屋」を雇って4人を殺したとして起訴され、うち3人の殺人罪などを認定されて死刑が確定した藤井(旧姓関口)政安死刑囚(81)の作品は「愛(なんでも溶かす薬)」と題する、ネコが数多く描かれた絵。やはり再審請求中で、獄中生活は金川死刑囚よりも長い。 ▽主催は「大道寺幸子・赤堀政夫基金」 表現展は、死刑廃止運動に取り組んだ大道寺幸子さんが2004年5月に亡くなり、その遺志に従い、残したお金で始まった。大道寺さんは、連続企業爆破事件で死刑が確定し、2017年に病死した将司元死刑囚の母。島田事件で死刑が確定したものの、再審で無罪となった赤堀政夫さんからも14年に資金の提供があり、現在の表現展は「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」の主催となっている。
「死刑囚表現展 2023」は11月3日14日午後1~7時、4日午前11時~午後5時半、5日午前11時~午後5時。入場無料。4日午後6時からは、表現展の選考委員を務める彫刻家、小田原のどかさんのギャラリ―トークがある。松本治一郎記念会館は、東京都中央区入船1―7―1で、5階の会議室が会場。問い合わせは、共催の「死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90」(電話03―3585―2331、港合同法律事務所)まで。