NY州知事、「渋滞税」計画を停止-今月末の導入控え驚きの決断
(ブルームバーグ): 米ニューヨーク州のホークル知事は、マンハッタン中心部に乗り入れる車両に「渋滞税」を課す計画を無期限に停止すると発表した。構想に何年もかかったこの計画は、今月末に導入される予定だった。
同知事は渋滞税の実施を見送る理由として、インフレやニューヨークの労働者階級に対する経済的圧迫を挙げた。この計画は11月の議会選挙を前に、政治的な足かせとなる恐れがあった。
「今回の決断は、われわれの市を繁栄させている人々のために正しいことをすることが目的だ」と同知事は5日のウェブサイトの声明で説明した。
ホークル知事は今回の計画を、ニューヨーク市の事業者に対する課税に置き換えることを検討する方針だと、事情に詳しい関係者1人がこの提案が非公開だとして匿名を条件に明らかにした。
渋滞税は今月30日に導入予定で、この種の取り組みとしては全米初となるはずだった。豪雨や洪水に何度も見舞われた100年余りの歴史を持つ交通システムの近代化に向け、年10億ドル(約1550億円)の徴収が見込まれていた。徴収される資金は、列車の遅延を減らすための地下鉄の信号の改修、新たな電動バス、地下鉄延長などに充てられる予定だった。
ほんの2週間前にこの計画を市内の交通渋滞を解消する方法だとアピールしていたホークル知事にとって、今回の決断は驚くべき方針転換となった。ほぼ全ての「トール・ガントリー」と呼ばれる装置がマンハッタンの道路に設置され、ドライバーから渋滞税を徴収する準備が整っていた。
渋滞税は、11月の重要な議会選で民主党に打撃を与えかねない不人気な政策となっていた。4月のシエナ大学の世論調査によると、民主党支持者、共和党支持者、無党派層の有権者の過半数を含め、ニューヨーク居住者の63%がこの計画に反対していた。
原題:NY Governor Shocks Manhattan With Halt to Congestion Pricing (2)(抜粋)
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