「西武2位指名」大商大・渡部聖弥外野手を育てた父が語る、子育ての「信念」と「コツ」
子ども扱いしない
西武から2位指名を受けた大商大の渡部聖弥外野手。野球選手としての確かな実力はもちろん、人としての魅力にも溢れたスラッガーを育てた、父・泰明さんが子育てにおける信念、思い出を語る。 【動画】「西武2位指名」大商大・渡部聖弥が全日本で放った逆方向への衝撃ホームラン 前回記事「『西武2位指名』大商大・渡部聖弥の父親が明かす 息子の『才能』と『育て方』」から続く。 小学3年生にして、6年生ら上級生の中に入ってレギュラーを獲得するなど、大器の片鱗を見せていた聖弥。泰明さんは聖弥と3歳上の兄のために、家の庭に防球ネットを張ってティーバッティングを行えるようにした。 「聖弥はそんなに練習が好きな子ではなかったですね。そんなにやらなくても結果が出てしまっていたからというのもあるかもしれませんが、自分から素振りをしたりというタイプではなかった。普通の小学生で、しんどいことは嫌いだし、楽なほうへ、楽なほうへ行ってしまう。家ではダラダラしていましたから。 そうしたこともあって私がネットを買ってきて、やるかみたいな感じで始まりました。無理矢理やらせることはしませんでしたが、上級生を差し置いて試合に出してもらっていたので『自分が出ることで代わりに出られない人がいるんだから、結果を出すための努力をしよう』っていう話もしました。小学生には難しいことを言ったかなとは思うんですけど、そういう部分をわかってもらいたかったので」
「常に謙虚であれ」
ティーバッティングでは一般的な斜め前方からボールを上げるだけでなく、ミートポイントの真上から落としたり、キャッチャー側からトスした球も打たせた。 「一緒にやっているお兄ちゃんができなくても聖弥は打ててしまう。チームで他の子たちにも、こんな練習方法もあるよという感じでやらせてみても、誰もうまく当てられないんです。バットコントロールとか、ボールのとらえ方とか、野球センスが違っていたのかなと思います。 体も小さいころから筋肉質で、なにかトレーニングをしたとかではないんですが、中学のときなんかはお尻と太もものうしろはすごかったです。私の体型は細いほうですし、野球をやったのも小学生まで。妻は運動神経がよくて小学生のときは足が速くてリレーの選手だったみたいですが、言ってもそのレベル。なにかの競技に打ち込んだ経験があるわけではありません。聖弥は『突然変異』ですね(笑)」 周囲から一目を置かれ、注目され続けてきている聖弥だが、泰明さんの「常に謙虚に」という教えを守り、驕ることもなければ、慢心することもない。