都議会「今まで何をしたか」議案チェックは十分か。立案努力はしてきたか
ある都民の家庭で
(これまでのあらすじ) 都内在住、都民夫(みやこ・たみお)さんは妻と高校生の息子・都議一(みやこ・ぎいち)さんの3人家族。議一さんの学費捻出のため、忙しく働き、家庭を顧みる時間がなかった民夫さんだったが、息子が通う都議会高校で、もうすぐ編入生を含む入れ替え試験があると知り、成績がどのようになっているのか、心配に。しかし、議一さんの“成績表”はなく、参考書や問題集を購入した“領収書”もすぐに確認できないことがわかった……。 東京都議選「決めようがない」 議員を選ぶ“成績表”公表のない都議会
もし、あなたの息子がノーチェックで買い物していたら?
「議一は、これまでちゃんと勉強をしてきたのか」。成績表がない、領収書も“見せられない”。では、議一さんは、民夫さんにもらった小遣いを、実際どのように使っていたのでしょう ── 。 議一さんも勉強する気持ちがなかったわけではありません。 「うちはみんな英語が苦手でしょ。2020東京五輪に向けて、都家のために英語をがんばるよ」。 議一さんは民夫さんにこう“公約”し、都議会高校に入学しました。しかし、どう勉強すれば結果が出るのか、思いつきませんでした。 そんなとき議一さんが頼りにしたのが、都議会高校に隣接する書店「都庁堂」です。ここは文房具や雑誌、問題集などなんでもそろっていて、どんな教材を買ったらいいか、店員が都議会高校の生徒に提案してくれるのです。 近年は店員がコロコロ代わっていましたが、昨夏から女性店員・百合子さんが店を切り盛りするようになってからは、百合子さんのアドバイスで成績上昇という口コミも広がり、繁盛していました。 とりあえず英語のおすすめ教材を探そうと店の中をきょろきょろしていると、入荷したばかりの写真集を並べる百合子さんと眼が合いました。 「あら、議一君。どうしたの」。 商品に対する知識豊富の百合子さんに声をかけられた議一さんは、自分が何がほしいのか、どぎまぎして言い出せなくなりました。 「ちょっと家の将来のために何を勉強したらいいかな、って……」。 「あら、議一君、すごくいい考えね。じゃあこれがいいわよ」。 勧められたのは、少子化時代に欠かせない保育士になるための本やペット殺処分を考える特集の冊子でした。 「これ、将来役に立つかな……。でも百合子さんが言うなら、きっと間違いないや」。 百合子さんの笑顔は堂々としていて、英語の教材は後回しでもいいという気持ちになりました。小遣いを十分にもらっていた議一さんは早速、購入を決意しました。 「ま、きょうは英語はいいか。また小遣いもらえばいいし」。……(つづく)。