江戸時代の絵師・英一蝶の過去最大規模の回顧展がサントリー美術館で 花鳥画、仏画など多彩な作品でその画業と人物像に迫る
サントリー美術館では、2024年9月18日 (水)より、江戸時代、元禄年間前後に活躍した絵師・英一蝶(1652-1724)の没後300年を記念した、過去最大規模の展覧会を開催する。 【全ての画像】《吉原風俗図巻》(部分)ほか広報用画像(全8枚) 英一蝶といえば、遠山記念館が所蔵する重要文化財《布晒舞図》が有名。武家屋敷に招かれたと思しき舞い手が布晒しの舞を舞う一瞬の姿を活写した本作は、流れる白布と赤い着物とのコントラストも美しい。3人の囃子方も表情豊かで、独自の風俗画を生み出した一蝶の洗練された画才を堪能できる作品だ。 承応元年(1652)、伊勢亀山藩主の侍医をしていた父のもと京都に生まれ、その後家族とともに江戸に出た一蝶は、狩野宗家の狩野安信に入門。狩野派仕込みの確かな画技で、ユーモアあふれる風俗画を生き生きと描き、一躍人気絵師に登りつめた。俳諧は松尾芭蕉に学び、宝井其角などの俳諧師と親交。江戸吉原では幇間(太鼓持ち)として大名などとも交流した。しかし、元禄11年(1698)に流罪となり(その理由は諸説あり)、47歳から足かけ12年を三宅島での罪人生活を送る。ところがこの配流中に、江戸の知人、三宅島や近隣の島民の求めに応じて描いたものには傑作が多く、この時期の作品は「島一蝶」と呼ばれている。 その後奇跡的な恩赦で江戸に戻った一蝶は、「多賀朝湖」などと名乗っていた画名を「英一蝶」と改め、注文の多かった風俗画に加えて、謹直な仏画や、狩野派の画法にのっとった花鳥画、風景画、物語絵などを制作した。 同展では、幅広いジャンルで才能を発揮した彼の、瑞々しい初期作品から、配流時代の貴重な「島一蝶」、江戸復帰後の晩年作など、各地に残る優品を通して、その画業と魅力的な人物像に迫る。講演会や子供と楽しむファミリータイム、呈茶席ほかの関連プログラムは美術館公式サイトで確認を。 <開催概要> 『没後300年記念 英一蝶 ―風流才子、浮き世を写す―』 会期:2024年9月18日(水)~11月10日(日) 会場:サントリー美術館