ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』東京公演開幕 林一敬、小園凌央らが意気込みを語る
今回は神津恭介が第一高等学校(一高)に通っていた時の事件を描いた表題作『わが一高時代の犯罪』と、その続編とも言える『輓歌』の2編を組み合わせた作品。時系列としては舞台第一弾である『呪縛の家』より前であり、若かりし頃の神津や松下が描かれる。 舞台稽古で披露されたのは冒頭20分ほど。林演じる神津と智恵子(能條愛未・中野郁海)が10年の時を経て再会するプロローグの後、一高生の日常から物語がスタートした。 松下(小園)は、親近感の湧く語り手として客席と物語を繋いでくれる。短いシーンながら神津への尊敬や信頼がしっかり伝わってきて微笑ましい。プレイボーイの青野(関翔馬)、上昇志向が強い飯島(高橋曽良)、変わり者の妻木(小山龍之介)と、学友たちも個性豊か。エリートだが子どもらしさも残る高校生たちのやり取りが楽しく、その輪に入ると神津の一際落ち着いた物腰や聡明さが目を惹く。一方、師である天沼教授(片岡)とのシーンではまだ未熟な一面も見え、ギャップが魅力的だ。 一高生たちの若さや勢いが眩しいぶん、大人たちの存在感も際立っている。軽いように見えて頼もしい天沼、優秀な実業家であり一高出身の先輩である水町(加藤)、彼の有能な秘書である稲田(細貝圭)、秘密を抱えているらしい章子(滝佑里)らが物語にどう関わってくるのか、続きが気になる公開稽古だった。 <公演情報> 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』 演出・構成:野坂実 脚本:須貝英 音楽:村井邦彦、上野耕路 原作:高木彬光(光文社文庫) 【出演】 林一敬/小園凌央/能條愛未、中野郁海(Wキャスト)/関翔馬 高橋曽良 小山龍之介 滝佑里/細貝圭/加藤雅也/片岡鶴太郎(特別出演) ほか ※高橋曽良の「高」は「はしご高」が正式表記。 【東京公演】 日程:2024年3月20日(水・祝)~31日(日) 会場:サンシャイン劇場