「孤高の地位」を築いた高速ワゴン! アウディRS6 アバントGTへ試乗 魔法のような快適性
プッシュしたくなるニュートラルなライン取り
RS6 アバントGTは、大きくて軽くない。それでも、試乗したスペインのワインディングを、極めて自然に駆け抜けてみせた。ステアリングホイールへフィードバックが伝わり、もう少しプッシュしようという気持ちにさせる。 ただし、アクセルペダルの踏み加減でライン調整できるわけではない。アウディらしく、コーナリング・スタンスは常にニュートラル。アンダーステアは抑えられている。 ツインターボエンジンに、電気的なアシストはない。ターボラグが小さくなく、本領が発揮されるのは3500rpm前後から。ヘアピンカーブなどで回転が落ちると、期待通りのパンチ力をすぐには得にくい。 電気モーターが加勢してくれれば、一層爽快だろう。きっかけを与えて、リアアクスルを振り回すことは可能だが。 サウンドは、ターボ過給されるV8エンジンらしいもの。マフラーから、空気を切り裂くような激しいバリトンの響きが放たれる。ターボチャージャーの悲鳴も重なる。運転席より、路肩で聞いている方が一層刺激的なようだ。
孤高の地位を築いた類まれなロードカー
ちょっと振り切った存在の、RS6 アバントGT。この特別な見た目を、筆者は嫌いではない。古いレーシングカーのグラフィックを再現しても、必ずしもカッコ良くなるとは限らないが、この例では成功していると思う。 走りの印象は、RS6 アバント・パフォーマンスから大きく進化したわけではない。とはいえ、それはネガ要素ではない。このC8系で、高速ステーションワゴンとして孤高の地位が築かれている。 表現力の豊かさや野性味では、BMWやメルセデスAMGのライバルには及ばないとはいえる。しかし、類まれなロードカーに間違いない。RS6 アバントGTは、固有の特長を維持しつつ、さらに訴求力を増した仕上がりにある。 ◯:古いレーシングカーの雰囲気を巧みに解釈した見た目 コイルオーバーキットが乗り心地とシャープさを両立 △:高額で既に完売状態 いざという時のターボラグ
アウディRS6 アバントGT(英国仕様)のスペック
英国価格:17万6975ポンド(約3398万円) 全長:4995mm 全幅:1960mm 全高:1485mm 最高速度:305km/h 0-97km/h加速:3.3秒 燃費:8.2km/L CO2排出量:- 車両重量:2075kg パワートレイン:V型8気筒3996cc ツインターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:630ps/6000rpm 最大トルク:86.9kg-m/2300-4500rpm ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
イリヤ・バプラート(執筆) 中嶋健治(翻訳)