「プレミア12」優勝の熱狂続き台湾社会は経済効果に期待。映画化計画や甲子園描いた「KANO」リバイバル上映も
野球の国際大会「プレミア12」の決勝戦(11月24日、東京ドーム)で日本を破って優勝に輝いた台湾では、いまも熱狂が冷めやらず、関連グッズが飛ぶように売れている。映画化計画の発表や、戦前の台湾代表の甲子園大会準優勝を描いた2014年の台湾映画「KANO」のリバイバル上映も行われ、野球がもたらす経済効果に期待が寄せられている。 【全画像をみる】「プレミア12」優勝の熱狂続き台湾社会は経済効果に期待。映画化計画や甲子園描いた「KANO」リバイバル上映も 台湾各紙報道によると、台湾の初優勝の映画化計画を発表したのはDRAMモジュール、SSDモジュールなどのメモリーモジュール分野で世界的大手ベンダー、威剛科技(ADATA=エーデータ)台の陳立白董事長(会長)。 陳氏は12月17日、台湾プロ野球リーグ・中華職業棒球大聯盟(CPBL)の蔡其昌会長や台湾代表の陳冠宇投手、郭俊麟投手、林安可外野手、林岳平コーチらとともに台北市内で会見に臨み、「映画化によってこの栄光を長く人々の記憶にとどめたい」などと述べ、威剛社とスポーツくじ運営の台湾運彩、さらに陳氏個人の出資で来年上半期の撮影開始を目指す計画を明かした。 これに前後して台湾で2014年、日本で2015年に公開された、戦前の嘉義農林の甲子園準優勝を描いた台湾映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」のリバイバル上映が、台北と南部・高雄の映画館で始まり、プレミア12の優勝にわく台湾社会の気分をもりあげた。12月13日に台北市内で行われた会見には同作の馬志翔監督、魏徳聖プロデューサーが映画出演俳優らと共に出席。プレミア12での台湾代表優勝の高揚した気分の中、野球への情熱を持って劇場で鑑賞してほしいと呼びかけた。 「KANO」は台湾が日本統治下にあった1931(昭和6)年、嘉義農林学校(現嘉義大学)野球部が台湾代表として夏の甲子園大会に出場し、準優勝を果たした物語で、監督の近藤兵太郎(1888~1966)を永瀬正敏が好演し、台湾で空前のヒットを記録。2014年の第9回大阪アジアン映画祭で観客賞を受賞するなど日本でも注目を浴びた。 野球世界ランキング上位の12カ国・地域が競う「プレミア12」はオリンピック、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)とともに野球3大国際大会のひとつに位置づけられる。台湾は11月23日に東京ドームで行われた2次リーグで日本に敗れ、翌24日、同じく東京ドームで行われた決勝戦で2次リーグ3連勝1位の日本と今大会3回目の対戦に臨んだが、5回に1点を先制後、劇的なスリーランホームランで4点を奪取。そのまま日本打線を封じ込め4-0で日本を下した。 台湾は野球国際大会では1992年のバルセロナ五輪銀メダルを奪取したのが最高位だったため、今回は3大大会全体でも初めての優勝で、台湾メディアは11月24日夜、相次いで速報を展開。25日の現地各紙朝刊も試合をテレビで観戦していた頼総統が喜ぶ様子や台湾各地で行われたパブリック・ビューイングの様子などとともに複数面で大展開した。 頼清徳総統も台湾に戻る選手たちの搭乗旅客機を軍の戦闘機にエスコートさせるとSNSで表明し、その通り実現させた。11月26日午後には台湾代表チームの凱旋パレードが台北市内中心部で行われたが、平日にもかかわらず、多くのファンが駆け付け、応援歌「台湾尚勇」(Taiwan No.1)の大合唱に。また関連グッズなども飛ぶように売れていた。
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