“ポスト錦織”と呼ばれる西岡ってどんな選手? その将来性は?
今月、ATPは〈ニュージェネレーション2016〉と銘打ってキャンペーンを打ち出した。そこで紹介されている計14人の中に一人の日本人がいる。三重出身の20歳、西岡良仁だ。その中心で睨みをきかせているのは、現在世界ランキング26位のニック・キリオス(オーストラリア/20歳)や46位のボルナ・チョリッチ(クロアチア/19歳)で、その存在感にはまだ及ばない124位だが、日本だけではなく世界の新世代としてATPツアーも期待を寄せる一人であることは間違いない。 その西岡が今開催中のマイアミ・マスターズで予選を突破し、本戦でも3回戦に駒を進めた。2回戦で勝った相手は世界23位のフェリシアーノ・ロペス(スペイン)である。34歳という年長プレーヤーだが、昨年の全米オープンでもベスト8入りするなどその力は衰えていない。スペインの選手には珍しくサーブ・アンド・ボレーを得意とし、昨年はエースの数でツアー6位をマークしたビッグサーバーだ。これまで80位前後の選手に2回勝ったことのある西岡だが、トップ30からはこれが初白星。〈ニュージェネレーション〉のポスターでは端っこで控えめに写っている身長170cmの西岡が、188cmのスター選手を相手に大胆にアピールしてみせた。 この数年、少しでも期待できそうな若手の日本男子に〈錦織二世〉という称号は付き物で、西岡もそう呼ばれた。実際、その経歴において錦織圭との共通点、あるいは類似点は少なくない。 全国小学生選手権を制し、14歳のときに盛田正明テニスファンドの生徒として米国フロリダのIMGアカデミーにテニス留学、プロ転向前にツアー下部の〈フューチャーズ〉大会を制し、その上の〈チャレンジャー〉大会を18歳で制したことなど。しかしタイプは異なる。アカデミーの創立者である名コーチ、ニック・ボロテリー氏は、西岡がジュニアだった頃、「ケイは天才的なショットメーカー、ヨシは生来のファイターだ」と二人のテニスが別物であることを指摘しながら、左利きというアドバンテージを持った西岡にも期待を寄せていた。 ファイター気質の表れか、その頃の西岡は試合中によく癇癪を起こしてラケットを叩き付けたり放り投げたりしていたが、大人になるにつれ正しいエネルギーの使い道を覚えていった。スピードに長け、左のトップスピンを左右に散らし、しぶといラリー戦を展開する。その俊敏さや生き生きとしたテニスには、同じプレーヤーも感化されることが多いようで、今注目の日米ハーフの大坂なおみも西岡のファンだと言っていた。 「どこの大会だったか、たまたま試合をしているところを見ました。Nishiなんとかという名前が見えたから、『え、ニシコリ?』と思って見に行ったんです。ニシコリじゃなかったけど、カッコいい選手だなと思った。すごく楽しそうにプレーするし、その動きはハエみたいに速くって!」 ハエとはあまり聞こえのいいたとえではないが、小さくてすばしっこく動き回る様子は、なるほど的確なたとえである。