大阪体育大Cチーム出身4回生が崖っぷち大一番でインカレ先発&主将デビュー…意地の筑波封じ見せた立正大淞南出身MF山田和樹「人生をかけてでもやってやると」
[12.16 インカレ決勝ラウンド第2節 筑波大 0-0 大阪体育大 本城] この試合に敗れれば敗退が決まるという大一番、それも対戦相手は関東大学リーグ2位の筑波大。大きな大きな重圧がのしかかる一戦で全国初先発に抜擢され、キャプテンマークも託されたCチーム出身の4回生が、誰の目にも光るような覚悟あふれるパフォーマンスで決勝トーナメント進出への望みをつないだ。 【写真】「可愛すぎ」「佐々木大樹のモノマネ?」乃木坂46五百城茉央さんがオフショット公開 筑波大相手に0-0のドローで勝ち点1をもぎ取った試合後、中盤でゲームキャプテンとして走り回ったMF山田和樹(4年=立正大淞南高)は「これが最後と思ってもいいくらいに頑張ったかなと思います。でもまずは次につながって良かった。次につなげるために、ここにかける思いは絶対に負けない、人生をかけてでもやってやるって気持ちでした」と静かな覚悟をにじませた。 「もともとCチームから這い上がってきた」という山田が初めて関西学生リーグのメンバーリストに名を連ねたのは、4回生として迎えた今季の後期日程。ラストチャンスだった。立正大淞南高時代はキャプテンを務め、コロナ禍の苦しみの中でチームを守り抜いてきたリーダーだが、大学入学後はサブチームでの活動が中心。3回生途中のAチーム昇格後も昨年後期、今年前期と登録メンバーに入ることができず、苦しい時間を過ごしてきた。 しかし、その中でも「心は折れずにやるだけだった」という22歳に、最後の最後で晴れ舞台が待っていた。初戦の九州産業大戦ではベンチ入りしながらも出番がなかったが、この日は初戦・九州産業大戦(●0-1)でフル出場した10番のMF木戸柊摩(4年=札幌U-18/札幌)の脚の状態が思わしくなく、ベンチスタート。待望の先発チャンスが巡ってきた。 山田が任されたのは5-3-2の勘所と言える中盤逆三角形のアンカーポジション。全国初先発という立場ながらも、左腕には松尾元太監督の指名でキャプテンマークが巻かれていた。「試合に出られない前日練習でも自分は手を抜くタイプじゃないので気を抜かずにやっていた。日頃の行いからそういうところを監督に見られていたんだと思う」。日頃の取り組みを見続けてきた指揮官による信頼の起用だった。 試合を決める働きをこなす木戸と同じような役割はできない。それでも、山田ならではの自負と自信は持ってピッチに立った。 「自分はラストパスが出せるとか、シュートが決められるとか、そんな選手じゃないんで。チームのために一番危ないところをケアしたり、チームがラクをできるように一個スペースを埋めたり、ハードワークするところを特に意識していました」(山田) 何より大きかったのは、苦しかった大学サッカー生活に報いる思いだ。「最近は全く試合に出られなかったので、この試合にかける思いはちょっと違ったなと。筑波相手にどれだけやれるかというのもあったし、自信を持ってやるだけという感じでした」。その奮闘が筑波大相手の0-0ドローという結果を導いた。 また隠れた貢献が見えたのは、エースのFW古山兼悟(4年=立正大淞南高)を始めとしたギラギラした気風を持つチームメートをまとめる働きだった。立ち上がりから負傷者が出るなど局面のバトルが相次ぎ、判定への抗議が収まらない場面もあったが、そのたびに田中が間に入って収め、締まった試合の流れを継続させていた。 古山とは高校からの同期という間柄。2人から感じられる“静と動”という対照的な見方は「もともとは高校では全然ぶつかり合ってたんですけどね」と笑みを浮かべながら否定するも、「いまは自分が大人になったというか、アイツを抑える役目を任されてますね。アイツにレッドとか出て試合に出られなかったら終わるんで。『大丈夫だ、抑えろ』って(笑)」と7年間にわたる熱い関係性も明かしてくれた。 そんな山田にとって、古山と共に立つインカレの舞台は格別だった。「アイツは1年からずっと試合に出ていて、2年で得点王になって、自分は対照的に下に落ちてという形だったんで、憧れもあったけど悔しい気持ちもあって。でも今は一緒にやれているんで」。この日の勝ち点1は、そんな日々をもう少し続けられる望みもつなぐ結果となった。 卒業後は体育教師を志望する山田にとって、この大会はサッカー競技人生の集大成。自ら掴んだ日本一への可能性をさらに切り開いていくつもりだ。18日の最終節・東海学園大戦は勝てば準々決勝進出の可能性を大きく残す大一番。「自分ら出ているメンバーだけでなく、選ばれずに残っているメンバーたちにも結果で自信をつけさせないといけないので」。大阪で吉報を待つ仲間の思いも背負って再びピッチに立つ。