「外国資本が森林を買収」...韓国や中国の《買い占め》で日本が危ない!? いま国をあげて求められる「対応」とは
外国資本による森林買収
農林水産省が実施した「外国資本による森林買収に関する調査」によると、居住地が海外にある外国法人または外国人と思われる者による森林買収の事例は、2019年に全国で31件あり、買収された森林面積は163haとなった。 このうちニセコエリア(俱知安町、ニセコ町、蘭越町)は17件と過半を超え、森林面積でも35・82haを占めるに至っている。取得者は香港が最多の10件で、以下シンガポール、タイ、英領ヴァージン諸島、オーストラリアとなっている。利用目的は、別荘用地や別荘地開発、資産保有が多いものの、未定、不明とされるものもあり気掛かりだ。 2006年から2019年までの14年間の集計では、ニセコエリアでは172件、買収された森林面積580haとなっており、全国合計の264件の過半以上を占め、同面積(2305ha)でも4分の1以上を占めている。ニセコエリアだけでなく、近隣のルスツ(4件)、洞爺湖(2件)に加え、富良野エリア(2件)でも外資による資産保有などを目的とした森林買収が進んでいる(2019年)。 ニセコエリアも含め、多くのケースが調査結果にあるように、別荘用地やリゾート用地としての取得とみられる。華僑など富裕層が、円建て資産を資産運用や節税対策などで所有するケースもあるだろう。一方で、北海道や長崎、沖縄などで起きているとされる、外国資本による水資源確保のための山林の買い占めや、自衛隊基地や原発施設などの隣接地の土地取得など、安全保障上の懸念があると、話は違ってくる。ニセコに同様の案件があるのかは承知しないが、こうした事案には当然ながら厳粛に対応すべきであり、買収先が現在、政治的に良好な関係にあるとはいえない韓国や中国のような国の資本によるものであれば、なおさらだ。現在の法制度では対応や規制ができないのであれば、国が主導し、条例や法律によって規制を強化しないと、大事になってしまうのではないかと危惧する。 森林買収だけではなく、住宅地や商業地における不動産売買でも同様だ。ニセコにおいては、森林買収と同様、大部分は居住目的、商業利用、資産保有目的とみられるが、その所有者には英国領のヴァージン諸島やケイマン諸島など、税金が極端に低いタックスヘイブン(租税回避地)にあるペーパーカンパニーなども散見されるという。不動産売買における純粋な投融資や合法的な節税は、市場経済における経済活動のベースとなるものであり、むやみに規制をすべきではないが、明らかな脱税行為だけでなく、マネーロンダリングやテロや治安、安全保障の観点からも規制を強化すべき部分がある。 ニセコの不動産売買における、国内外の富裕層や企業による海外への資産隠しや海外企業を利用した国際的な租税回避に対しては、地元の俱知安税務署や札幌国税局だけでなく、たとえば東京の国税庁本庁も含め、東京国税局や大阪国税局などにあるとされる「超富裕層PT」を札幌国税局にも設立し専門的に対応するなど、健全なる納税者や投資家が不公平とならないような国レベルでの包括的な対応が必要であろう。 『パウダースノーがなくなる!?...ニセコ存続のために「入場者数を減らす」観光客を減らしても発展できるビジネスの秘密』へ続く 【ニセコの最新の状況についてはこちらの記事もご参考ください】
高橋 克英(金融アナリスト)