Return to Couture──クチュール回帰
今年6月に発表されたデムナによる4回目、メゾンの歴史としては53回目となるバレンシアガのクチュールコレクションでは、デムナが影響を受けたサブカルチャーを独自の技術や素材の革新を通してクチュールで表現。発表されたばかりの最新作を世界で活躍する日本人モデルのYUTOとTAIRAを起用し、仏・パリのクチュールサロンでスペシャルシュート。 【写真を見る】クチュールルックを見る。
豪勢でエキセントリックなクチュール
エコニールを使用し、ストーン・ウォッシュ加工を施したボンバージャケットのルックは、顔を覆うほど大きなハットが目を引く。このハットは、中国人アーティストのニー・ハオとのコラボレーションによるもので、クチュールのシルエットを完成させるために、Tシャツにハンドドレープを寄せた状態で樹脂で固めたクラフツマンシップあふれるアイテムだ。 艶やかな光沢のブルレザーのコートに日本製のデニム、そしてラムレザーのグローブを合わせたブラックのコーディネートは、異素材による奥行きのあるオール・ブラックがエレガント。エイジング加工を施した黒のプリーツベルベットとストレッチベルベットのパッチワークドレスがダークな華を添える。 デムナならではのサブカルチャー、ゴシックのアートワークを、メゾンのサヴォアフェールを通して仕上げたフーディは、一見プリントのようだが、手作業でペイントが施されたもの。繊細なグラフィックを手仕事で約70時間かけて仕上げたワンオフのクチュールフーディだ。アーティストのYUMI OKITAと共に手掛けたという、変化や自由の象徴である蝶モチーフのマスクも目を引く。 ゴールドのアルミホイルで仕立てられたミニマルなビスチェドレス。身体にフィットするように作られた胴部分は、動くたびに奏でられるアルミの音まで計算されている。シャイニーなドレスにシックな黒いベルベットのオペラグローブを合わせたユニークな素材使いも今季の特徴。ゴートレザーにルックナンバーが手で描かれたハンドウォレットにも注目。 生地における革新として表現されたラップジャケットは、素材違いで登場した象徴的なアイテムのひとつ。身体を包み込むように構築的なボリュームを与えるクチュールならではのパターンが際立っている。コットンジャージーの袖のノットが連なったトップスとスカートのセットアップは、独創的なドレープがエレガントかつストリートな雰囲気を醸し出す。 パファージャケットやトラッカージャケットなど複数のアウターウェアを組み合わせて作られたロングドレスは、迫力満点のボリュームが特徴。クリストバル・バレンシアガのドレス・メイキングのヘリテージに敬意を表した優雅なフォルムと素材使いによって現代的なピースに仕上がっている。 PHOTOGRAPHS BY HÖRDUR INGASON HAIR STYLED BY TOMOHIRO OHASHI MAKE-UP BY AYA FUJITA DRESSER BY AYAMI OKURA COORDINATION BY HIROMI OTSUKA