<甲子園交流試合・2020センバツ32校>第3日 第2試合 鹿児島城西-加藤学園 みどころ
◆第3日 第2試合 鹿児島城西-加藤学園 8月12日 12:40 ◇みどころ 鹿児島城西は八方悠介、前野将輝の2人の好右腕を擁し、加藤学園には絶対的なエース右腕・肥沼竣がいる。新顔同士、互いの投手が実力を発揮すれば接戦が見込まれ、プラスアルファの特長を出せるかどうかが勝負の行方を左右しそうだ。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 鹿児島城西の八方は直球に威力があり、スライダーが武器の前野は奪三振率が高い。ともに完投能力を備え、今大会の主力投手防御率のベスト10に名を連ねる。チーム打率は特別に高くはないが、九州大会では1回戦で7点、準々決勝で8点を奪うなど、要所でつながりを見せた。 加藤学園は、まずは肥沼の出来がポイントになる。カギを握るのが公式戦13試合で39盗塁の機動力だ。東海大会2回戦では延長十回に重盗で決勝点を奪うなど、足を絡めた大胆な攻めもできる。相手投手や守備をかき回し、チームの合言葉「肥沼を援護する」を実現して大黒柱を助ければ、勝利が近づく。【森野俊】 ◆鹿児島城西 鹿児島県・私立 全国大会出場回数 春1回/夏0回 ◇自主性導いた初切符 プロ野球で首位打者や盗塁王に輝き、2018年1月に就任した佐々木誠監督の下、春夏を通じて初の甲子園切符をつかんだ。19年秋の九州大会は2試合に零封勝ちして4強入り。投手力を軸とした守りの野球の中心が、右の「二枚看板」だ。 140キロ台の直球に加え、カーブやスプリットなど多彩な変化球を操る八方悠介(3年)は「直球のキレが格段に良くなった」と自信を見せる。投球回数以上の三振を奪ってきた前野将輝(3年)は得意のスライダーに加え、チェンジアップとツーシームを習得。ライバルとして競い、高め合ってきた2人は「鹿児島城西の力を見せる」と意気込む。 19年秋の公式戦は1試合平均得点が5・67、チーム打率は3割1分6厘と決して高くない。秋に1~3番に入った林誠人、乗田元気、板敷政吾の2年生トリオの出塁はポイントの一つ。主将でチームトップの打率5割8分3厘、2本塁打をマークした古市龍輝(3年)ら中軸への打線のつながりが欠かせない。 チームの特色に自主性の高さがある。「上から抑えつけるのでは伸びない」と佐々木監督。丸刈りを強制せず髪形は自由とし、練習中はグラウンドに選手が選んだJポップが流れる。だが、選手たちで練習メニューを考え、自ら動かなければ成長はない。自由だけでなく、それに伴う自主性と責任が、チーム力を高めた理由といえる。 センバツに続いて夏の甲子園の中止が決まった時は「心が折れる選手もいて、3日間は全員が脱力状態だった」と八方。それでもセンバツ交流試合の開催で、気持ちは高まっている。独自のスタイルで臨む夢の舞台へ古市は「勝ちは絶対に譲れない」と言い切った。【白川徹】 ◇沿革 1927年に鹿児島和洋裁縫女学校として創立され、79年から現校名。甲子園に春夏各1回出場の宮崎・日章学園と同じ学校法人が運営している。普通科、調理科、ヘアーデザイン科、ファッションデザイン科などがある。OBにサッカー日本代表の大迫勇也選手(独ブレーメン)ら。鹿児島県日置市。 ◆加藤学園 静岡県・私立 全国大会出場回数 春1回/夏0回 ◇初舞台 全力全員野球 2019年秋の東海大会は準決勝で延長戦の末に県岐阜商に敗れたが、優勝した中京大中京(愛知)が明治神宮大会を制して「神宮大会枠」が東海地区に与えられ、春夏を通じて初の甲子園切符をつかんだ。「全員野球」を掲げるチームの大黒柱は、秋の県大会5試合、東海大会3試合を一人で投げ抜いた右腕・肥沼竣(3年)だ。 肥沼は140キロ前後の直球と変化球の制球力を武器とし、スタミナも十分。県地区予選を含めれば公式戦13試合のうち12試合に登板して10完投、防御率2・05と安定感もある。 チーム打率は2割7分9厘で出場校の中で下から2番目、1試合平均5・08得点は下から4番目と爆発的な攻撃力はないが、1点差の接戦を5試合ものにするなど、しぶとさがある。出場校中3位の1試合平均3盗塁と機動力で相手を揺さぶり、チーム最多4本塁打の大村善将(3年)、チームトップの打率3割9分5厘の杉山尊(3年)ら主軸に回したい。 新型コロナウイルスの影響で4月から約2カ月間、部活動を自粛し、その間は各自で基礎体力作りを徹底してきた。6月に全体練習が再開され、全員で野球ができる喜びをかみしめている。社会人野球のホンダで日本選手権準優勝の経験がある米山学監督からセンバツ交流試合の開催を知らされた選手たちは「はい」「はい」と監督の一言一言にハキハキと応え、笑みをこぼした。主将の勝又友則(3年)は「3年間積み重ねた全員野球をぶつけたい」、肥沼も「思い出作りではない。3年間の成果を出す」と勝利を目指す。 米山監督は「チャンスをいただいた。選手は仲間のために好きな野球を思い切りやってほしい」と期待を寄せる。【深野麟之介】 ◇沿革 1926年に沼津淑徳女学院として創立。沼津女子などへの校名変更を経て、77年に現校名に改称された。83年に男女共学となり、野球部は96年に創部された。OBに高橋朋己投手(西武)ら。陸上部も全国レベルで、青山学院大時代に箱根駅伝で3年連続区間賞の下田裕太選手らを輩出した。静岡県沼津市。 ……………………………………………………………………………………………………… ※出場回数は今春のセンバツを含む ……………………………………………………………………………………………………… ◆お知らせ ◇公式ガイド10人に 8月10日から行われる2020年甲子園高校野球交流試合に出場する32校を紹介したサンデー毎日増刊「第92回選抜高校野球大会公式ガイドブック」=写真=を10人にプレゼントします。希望される方はQRコードからアクセスしてお申し込みください。8月18日締め切り。応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。問い合わせは毎日新聞社D.クリエーションセンター(03・3212・5134=平日のみ)。