万博はアパレルの未来示す絶好の機会…ゴム素材に石灰石・光合成する服、サステナブルに
2025年大阪・関西万博に出展する繊維・アパレルの企業の合同展示会が22日、大阪市内で開かれた。国内の繊維産業をけん引してきた関西の繊維業界にとって、万博は実力を示す絶好の機会だ。各社は近未来を感じさせる先端技術と、脱炭素につながる「サステナビリティー(持続可能性)」を融合させたファッションを発信する。(高市由希帆)
会場では関西の17社が、万博で披露する技術を紹介した。帽子製造のヨシダ(大阪市)と素材メーカーの山本化学工業(同市)は、光を浴びると色が変化する「7色に輝く帽子」の展示を計画している。ゴム素材の原料には、石灰石や植物油を採用する。担当者は「脱炭素につながる取り組みを発信したい」と語った。
繊維メーカーのオーミケンシと化粧品メーカーの桃谷順天館(同市)は、化粧水の成分を練り込んだレーヨン「モイストファイバー」を披露した。肌に潤いを与え、土に埋めると分解される。万博では、メッシュ状にした生地に種子を植え、発芽した植物で覆われた「光合成する服」を展示する。
各社が出展する大阪ヘルスケアパビリオンでは、25年9月23~29日に大阪商工会議所などが、持続可能な繊維・ファッションがテーマの展示プロジェクトを予定する。
今回の万博は脱炭素が主要テーマの一つとなる。パビリオンのスタッフ用ユニホームも、持続可能なファッションを発信する。政府出展の「日本館」では、素材の一部にペットボトルが原料の繊維を採用した。ボタンやジッパーをなくし、再利用しやすくした。アニメ監督・河森正治氏が手がけるパビリオンでは、ユニホームに微細なプラスチックごみが出にくい素材を採用し、バッグの素材には国内で大量廃棄される貝殻を選んだ。
繊維業界では、脱炭素が世界的な課題だ。米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査では、温室効果ガス排出量は衣料品関連が約21億トン(18年)で、世界の4%を占めた。欧州連合は26年7月から、アパレル大手に売れ残り品の廃棄を禁じる。日本でも経済産業省が3月、繊維業界が取り組むべき環境配慮の指針をまとめ、対応を促している。
関西企業は万博で最新の取り組みを紹介する。関係者は「関西の繊維産業の強みを世界に広めたい」(大阪商工会議所)、「脱炭素社会で存在感を発揮する」(出展企業)と意気込む。