【里崎智也】ソフトバンク打線の破壊力に対し日本ハムは愚直に1点を重ね続けるしかない
<パ・CSファイナルステージ:ソフトバンク7-2日本ハム>◇第2戦◇17日◇みずほペイペイドーム 【写真】山川の打席で、頭を抱える新庄監督 ソフトバンク打線は、ここに来て柳田も近藤も復帰し、いわゆる全員集合となった。ホームランで一気に畳みかける破壊力がある。日本ハムには脅威以外の何物でもない。 日本ハム投手陣のこのカードの防御率は3・80。シーズン防御率2・94と比べると、明らかに苦手にしている。同様にソフトバンクもシーズン防御率2・53に対して、このカードは3・41。 つまり、このファイナルステージの図式はロースコアは考えづらく、打ち合い、いわゆる「矛(ほこ)矛」対決と言えた。点の取り合いは、戦前からある程度心づもりはできていたはずだ。 そこで、ど~んと近藤の勝ち越し2ラン、山川の2打席連発と本塁打攻勢のソフトバンクに対し、日本ハムは自分を犠牲にしてでも、1点ずつを確実に奪うしかなかった。 初回、万波と清宮の連続二塁打で幸先よく先制に成功するが、なお無死二塁でマルティネスは三ゴロ。言うまでもなく1死三塁をつくるべく進塁打が念頭にあれば、続くレイエスの中飛で2点目を奪えた。 マルティネスはこのシリーズは打率1割台。3番打者ではなく3番目との認識がほしかった。と強調したのには、5回の第3打席があったからだ。2死一、二塁でしっかりボールを見極めて四球を選ぶつなぎ役に徹していた。 つまり、何とか好機を広げよう、1点でも多く積み重ねようという姿勢は見える。ならば、初回にこの姿勢があれば、序盤の展開は多少変わっていた可能性がある。 2回無死一塁で水野は空振り三振に倒れたが、何とか引っ張って走者を進めようとしていた。1死一塁から田宮もセーフティーで揺さぶりながら、追い込まれて懸命にくらいつき引っ張った結果、一塁山川の頭上を越えるバウンドで1死二、三塁。松本剛の犠飛で2点目につなげた。 田宮は6回1死二、三塁でも、内野陣が下がっていることを念頭に、2ストライク後に、ここも引っ張ってゴロでもいいという姿勢で3点目を狙いに行った。不運な二直になったが、田宮の意図はこちらにも伝わってきた。 姿勢は見える、やろうとしている。しかし、できなければ一発長打のソフトバンクには勝てない。酷な言い方になるが、姿勢は見えるが実行できなかった2つの場面は、敗因と直結している。 ミスらしいミスもない。姿勢は見えるが、実行できない。かたや山川が2打席連続で一瞬にして得点を重ねていく。この差を埋めるためには、日本ハムは姿勢を見せるだけでは届かない。何度でもやり抜いて、愚直に1点を重ねる。そうしないと、優勝チームを超えていくことは難しい。(日刊スポーツ評論家)