体長3m超! 1日約90kmを移動する種もいるナマコ、実はウニやヒトデの仲間
防御力
ナマコは天敵から逃げることも、攻撃を仕掛けることもできないが、防御手段がまったくないわけではない。中には、攻撃されるとキュビエ器官という白い糸状の組織を吐き出すものがいる。キュビエ器官はネバネバとした物質で、これが敵の体に絡みつく。 防御のために自分の体を切り捨てるナマコもいる。攻撃を受けると筋肉を収縮させ内臓を肛門から吐き出し、敵を驚かせるのだ。吐き出した内臓はすぐに再生する。こうした能力をもつナマコは、再生医療の分野においては興味深いモデル動物だといえる。 また、深海で暮らすナマコの中には排泄物を勢いよく出し、それを推進力にして敵から逃れるものもいる。
繁殖
ナマコは有性生殖と無性生殖の両方が可能だ。多くの場合、有性生殖で繁殖するが、そこに仲睦まじさなどはなく、オスが精子を放出している間、メスが卵子を放出し、受精が起こるだけだ。ナマコの個体数が多くないと、この繁殖方法は成功しない。
生存への脅威
ナマコ、特に卵や幼生にとっての天敵は、魚、カニ、カメなどの海洋生物だが、ナマコを食べる人間も脅威だ。食用になるのは約80種。多くの場合は乾燥させ、干しナマコにする。フランスではベーシュ・ド・メールという高級食材だ。ナマコは中国でも需要が高い。フカヒレ同様にナマコを食べることは一種のステータスシンボルであり、薬効成分もあると信じられている。 ナマコの多くは浅瀬に生息し、動きが遅くて捕獲が容易だ。そのため乱獲の危険にさらされていて、70種以上が営利目的で捕獲されている。ナマコを輸出する国も1996年の35カ国から2011年には83カ国に増加している。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部