「受験の日は痴漢日和」 受験生の焦る心理につけ込む卑劣行為を「外道」と呼ぶべき根本理由
受験生を狙う悪質行為
受験シーズンが近づくと、駅や電車内で痴漢被害が増えることが懸念されている。その中でも特に悪質なのは、「テストに遅刻できない」という受験生の心理を利用し、追い詰められた状況で痴漢行為を行う者や、それを煽るような投稿をSNSに書き込む者たちだ。 【画像】「えぇぇぇぇ!」これがJR東日本の「痴漢防止ポスター」です!画像で見る(5枚) これらの行為は、単なる ・悪ふざけ ・軽い犯罪 ではない。それは被害者の尊厳を傷つけ、社会全体のモラルを損なう、極めて深刻な問題である。JR東日本は1月14日にプレスリリースを発表し、 「お客さまにより安心して鉄道をご利用いただけるよう、1月15日(水)~1月19日(日)の入学試験期間において痴漢対策を強化します」 「期間中は、東京都、警視庁と連携し、警戒を強化することで痴漢被害を未然に防止するとともに、痴漢被害に遭われたお客さまが、駅係員等にすぐにお声がけできるよう呼びかけなどを行います」 とし、 ・車内や駅構内での放送 ・ポスター掲出 ・デジタルサイネージへの掲示 ・公式SNSによる発信(JR東日本公式Xアカウント) ・警視庁と連携した痴漢撲滅イベントの実施 といった取り組みを明らかにした。 本稿では、こうした行為がなぜ「外道(※)」と呼ぶに相応しいのか、その理由を掘り下げる。 ※道徳や正義から外れた行動や非人間的な行動。倫理観や常識に反する行動をする人や、その行動を表す言葉として使われる。
試験直前の犯罪防止策
受験生にとって試験当日は人生の重要な一日であり、電車の遅延やトラブルが原因で試験に間に合わない恐れは、多くの人にとって恐怖心を抱かせる。 そのような状況を逆手に取る行為は、単なる犯罪を超えて、深刻な非道さを持つ。普段なら声を上げることができる人でも、 「試験に遅れたくない」 という思いから、痴漢行為を黙認してしまう可能性が高い。このような意図的な状況作りは、人間性の欠如を示すものといえる。 さらに、SNS上での煽り投稿が状況を悪化させる。NHKでも放送されたように 「受験の日は痴漢日和」 といった書き込みは、行為を助長し、受験生に対する社会的な圧力を強める。これによって、被害者は一層孤立し、声を上げるハードルが高まる。 痴漢行為が特定の環境で起こりやすいのは、犯罪者がその場の特性を巧みに利用しているためだ。満員電車での痴漢が一般的だが、受験シーズンに特化した行為は、さらに環境依存が強い。これに対処するためには、鉄道会社や警察だけでなく、社会全体が環境を変えるための努力を重ねる必要がある。例えば、 ・女性専用車両の利用時間を延長したりする ・受験シーズンに特化した防犯カメラの増設を行ったりする ことで、犯罪の抑制が期待できる。 また、被害者が声を上げやすい環境を整えるために、車内放送やポスターで「被害を受けたらすぐに声を上げてください」というメッセージを発信するなどの施策が必要だ。