173cmの長身でも「“モデル体型”じゃダメなんです」…「悔しい」日本選手権3連覇で走高跳・高橋渚(24歳)が見せた“成長と課題”
「この選手が跳べて、なんで自分が跳べないんだろう」
そもそも近年は、海外にコンスタントに参戦している女子の走高跳選手はいなかった。そのため、当初はエントリーの仕方もわからず「やり投げの選手に交ぜてもらって、単身で」参加するなど、手探りの状況だったという。それでも年明けには心機一転、所属先も移籍し、有言実行で世界転戦を実行してみせていた。 「日本だけでやってるのとはちょっと違って、メンタル面は大きく変わったと思います。欲も出ました。海外勢にとっては1m90cmなんて跳んで当たり前。『この選手が跳べて、なんで自分が跳べないんだろう』とか、いろんなことを考えるシーズンになりました。 (自己ベストと)ほんの数cmしか差がないのに、大台になると自分にとっては心理的な壁がありました。でも、そういう意識がなくなって1m90cmが『跳べる』と思える高さになったのは大きいと思います」 また、海外勢と戦い続ける中でフィジカル面の進化も目を引いた。 メディア等ではその173cmの長身と、跳躍選手らしいスラッとした長い手足から「モデル体型」と評されることも多い。昨年はフジテレビ系列で放送された『27時間テレビ』内の企画「さんまのラブメイト」で、明石家さんまの注目として名前が挙がったこともあった。だが、高橋が現在師事する飛田奈緒美コーチは以前、こんな風に語っていた。 「海外勢と戦おうと思ったら走高跳で173cmの身長って全然、小さいんです。190cmあればいいですけど、高橋のサイズで戦おうと思うなら“モデル体型”じゃダメ。七種競技の選手みたいなフィジカルが必要なんです」 その言葉通り、今季は東海大を舞台に男子選手と一緒になって、走り込みやウエイトトレーニングで体づくりをしてきたという。昨年よりも一回り逞しくなったフィジカルは、他の選手と比べても一層、際立っていた。今年、一段階上の記録水準をキープできていたのは、基本となる身体の出力が上がったことと無関係ではないだろう。 「今日の日本選手権を一番、思い出に残る大会にしたかったんですけど……悔しいですね。でも、やりたいことや気持ちの面では(3度の優勝の中でも)一番、準備がしっかりできた大会でもありました。パリ五輪への挑戦は一区切りになりましたが、来年の東京世界陸上には絶対に出たい。そのためには、今季のうちに必ず1m90cmをクリアしたいと思います」
「絶対に自分が、世界の舞台に立ちたい」
今大会で世界ランキングの五輪出場圏内への浮上はできなかったものの、仮に上位選手に欠場者が出るようなことがあれば、パリへの可能性もわずかながらまだ残す。 「もし出場できるなら、自分の跳躍をしっかりしてアピールしたいですね。女子の走高跳は世界から遠いと言われている種目。だからこそ絶対に自分が、世界の舞台に立ちたいんです」 孤高の第一人者は、そう言って前を見つめた。
(「オリンピックPRESS」山崎ダイ = 文)
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