シャッター商店街を救った“グローカル”なジーンズブランドとは?──桃太郎ジーンズに迫る!
「桃太郎ジーンズ」という、印象的な名前のジーンズブランドに注目! デニムの産地として知られる岡山県・児島エリアを拠点に、”職人の技術を通して日本のものづくり”を発信し続ける本店を訪ねた。 【写真を見る】桃太郎ジーンズの詳細
ジーンズで世界を目指す!
「創設時、前例のないネーミングで周囲から止められたらしいのですが、そのまま押し通して決まったブランド名なんです」 こんなエピソードから桃太郎ジーンズ児島味野本店(ジーンズストリート)の取材が始まった。 我々を出迎えてくれたブランドMDを務める伊吹安広さんが続けて話す。 「1990年代前半、デニムのテキスタイル事業を開始。その後、培ったノウハウを活かし世界に通用する“メイド・イン・ジャパン”のジーンズを作りたいという想いが生まれ、2006年にスタートしたのが桃太郎ジーンズでした。本店は、創業地で営む特別な店です」 今、世界の名だたるファッションブランドが、岡山・児島エリアで生産される高品質なデニムを求めている。この地は、江戸時代の綿花栽培に始まり、明治時代から養蚕・製糸業の興隆とともに縫製業など被服産業の一大集積地に発展した。昭和に入ると、学生服の一大産地にも(年に1000万着を生産した年も!)。 また、岡山・児島エリアは”三備地区”と言われるデニム・ジーンズの産地である。受け継がれてきた、染め・織り・縫製の技術を活かし、ジーンズの生産がスタートした。そして、昭和40年に日本初のジーンズを作ったブランドが登場。“ジーンズの街”を決定づけた。 「しかしながら制服産業の衰退とともに、味野商店街も過疎化していきました。いわゆる“シャッター商店街”になってしまったのです。来街者からは『ジーンズを買う場所がない』『ジーンズの街としての雰囲気が感じられない』という声が多く寄せられ、かつ地元からは『シャッターを開けたい』といった声が2000年代に高まりました。そこで、『児島ジーンズストリート構想』を策定し、2010年よりジーンズストリートをスタートしたのです。」