配給頼るガザ住民、わずかな食料に長蛇の列 餓死の恐れも
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【12月25日 AFP】パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)南部のラファ(Rafah)で避難民のための食料配給に連日、ボランティアとして参加するバクル・ナジさん(28)は、子どもたちの胃袋を満たすには量が足りないことが分かった瞬間に、毎回、やるせない気持ちになる。 ラファの食料配給所で取材に応じたナジさんは、わずかな食料を求め、無数の人が列をつくると話す。自身もガザ市の自宅から逃れてきた避難民だが、同じ境遇にある人々のために、炊き出しのボランティアをしている。 AFPに対し、「一番つらいのは、食料を配る時だ」と述べ、「食べ物が尽き、子どもたちに『おなかがすいた』『もうないの』と言われると、とても心苦しくなる」と説明した。 そのような状況に直面すると、ボランティアたちの多くは、自らの食料を差し出す。 21日に公表された国連(UN)の総合的食料安全保障レベル分類(IPC)報告書は、12月初め時点までにガザでは200万人以上が危機的な飢餓状態にあり、37万8000人超は「壊滅的な飢餓」に直面していると指摘した。 イスラエル軍とイスラム組織ハマス(Hamas)の戦闘が繰り広げられているガザには、わずかの人道支援物資しか搬入されない。 ラファの食料配給所では、フェンスで囲われたエリアで炊き出しが行われている。大人も大勢の子どもも、プラスチック製のボウルや小さな鍋を手にフェンスの外で辛抱強く待つのだ。 1日当たり約1万人分の食料を配っている慈善団体の職員、ハレド・シェイク・エイドさんは、「レンズ豆もブルガー小麦も市場からなくなった。エンドウ豆も白インゲン豆も消えた」と話す。 エイドさんによると、配給所は寄付とボランティアの参加で運営できているが、常に乏しい物資でやりくりせざるを得ないという。 ■「餓死より殉教の方がまし」 ナジさんは、「豆の缶詰の値段は1シェケル(約40円)から6シェケルに跳ね上がった」と語る。 「戦争前も人々は貧しく、職を持つ人でも子どもに十分食べさせられなかった。それなのに、この状況にどう対処すればいいのか」と述べ、「餓死者が出るのではないかと恐れている」と続けた。 南部ハンユニス(Khan Yunis)から逃れてきた、妊娠5か月のヌール・バルバクさんは、食料配給所が開く何時間も前から列に並んでいた。 トマト3個と2シェケル(約80円)を握り締めたバルバクさんは、「12歳の長男にときどき来させているが、暴力を振るわれるだけで何ももらえずに泣きながら帰ってくる」と話し、「ここがなければ、私たちは何も入手できない」と訴えた。 「子どもたちはやせ細り、空腹のため夜中に起きる」と厳しい状況を説明し、激戦地となっているハンユニスの自宅に戻ろうと考えたこともあると打ち明けた。 「飢え死にするより、殉教者として家で死ぬ方がましだから」 映像は23日撮影。(c)AFPBB News