公式戦800勝達成 青野照市九段 アマ二段からA級棋士に 棋士人生50年と引退を語る
『将棋世界2024年5月号』より
(初出:将棋世界2024年5月号。本文中の段位・肩書は当時のものです) 青野照市九段が、2月20日に行われた対局に勝利し、公式戦通算800 勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成した。史上26人目、71歳は史上最年長記録だ。 終局後に取材を受けた青野九段は「若い頃はC級2組から落ちるまでやるつもりはなかったですが、現役50年と800勝という目標ができたので、それに向かってやるのも意味があるかなと今年まで続けてきた。最後の1勝、2勝がこんなに重いとは思わなかったですね。通算負け越し(895敗)で800 勝は今後でないでしょう(笑)。才能のある人にはただの通過点でしょうが、プロになれる素質がないと思っていた私みたいな棋士でも達成できるんだと、目標にしてくれる人もいるんじゃないかという気がします」としみじみ語った。 棋士生活50 年。1月の順位戦C級2組で3つめの降級点が確定し、残る公式戦を全て敗退した時点で現役引退となるが「残っているうちは引退したとは思っていません。最後まで頑張りたい」と語った。 ■晩学のスタート 私は1953年1月31日、静岡県焼津市の水産加工業を営む家庭に3人兄妹の長男として生まれました。 将棋をいつ誰に教わったのかは覚えていません。祖父が大の将棋好きだったようですが、私が2歳の頃に亡くなっているので教わったはずがない。ただ、将棋盤をおもちゃ代わりにしていたのは間違いないようで、遊んでいる中で自然にルールが身についたのでしょう。3歳のときには駒字を読めていたと聞いています。
本文:7,520文字
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将棋世界編集部