排水口を舐めながら土下座「惨めな気持ちは忘れない」タレント仕事がなくなった城咲仁の失意を救った坂上忍の「言葉」
── やっぱりホストとして接客をするのと、テレビで話をするのは違うのでしょうか? 城咲さん:違いますね。テレビでは、15秒、30秒とコンパクトな時間のなかで起承転結に沿ったトークが求められます。僕はそれがあんまり得意ではありませんでした。ホストとしてお客様を接客するのとは別のスキルが必要だったんです。だんだん仕事が減り、お金がなくなりました。ホスト時代は家賃30万円の家に住んでいたのですが、当時は家賃5万8000円のところに引っ越しました。
── ホストに戻ろうとは思わなかったのですか? 城咲さん:さすがにダサいじゃないですか、「芸能界でうまくいかなかったから、ホストに戻ります」っていうのは。でもタレントで食えなくなったとき、見かねた親父が「バイトでもいいから少しホストクラブで働いてきたら?」って言ってきたんです。めちゃくちゃショックでしたね。 うちの親父は昔気質な人で、水商売は絶対ダメという考えでした。僕がホストになるのも猛反対だったんですよ。その親父がそんなことを言うところまで来たか…と、がくぜんとしました。
■排水口をなめながら土下座「惨めな気持ちは忘れない」 ── 当時は八方ふさがりだったと思います。転機はありましたか? 城咲さん:坂上忍さんの舞台に出演させてもらったことです。稽古中、ダメ出しの連続でした。僕がセリフを言うたびに坂上さんには「そのセリフの言い方、全然違う」と全否定されました。でも、自分なりに努力していたから、どうしてそんなに怒られるのか、わかりませんでした。 坂上さんはフォローをきちんとしてくれる人だから、僕とふたりになったとき「俺、この稽古でお前にめちゃくちゃ怒ると思う。でも、絶対成長させるから信じてついて来い」と言ってくれたんです。その言葉が支えになったのですが、想像以上のダメ出しなんですよ。やることなすこと全部「それは違う」と否定されて、もう訳がわからなくなるほどでした。