ピュアさと芯の強さを兼ね備えた南野巴那の涙に浄化されるオジサン記者
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 女優南野巴那(23)をインタビューした。8月24、25日に、日生劇場ファミリーフェスティヴァル2024「音楽劇あらしのよるに」でダブル主演する。 南野は大阪出身で子どものころは本格的に、バレエに取り組んでいた。実際、中学1年時には、ドイツに短期留学するほどだった。そのバレエ教室にオーディション番組が入り、それをきっかけにダンス&ボーカルグループでデビューを果たした。 だが、「芝居への夢を捨て切れなかった」という。「大学進学を考えたとき、やっぱり上京してお芝居がしたい」と思った。その思いを当時所属していた事務所にぶつけた。事務所も納得し、背中を押してくれた。 そして音大に進学すると、大好きな大島優子が所属する太田プロダクションのオーディションを受け、特別賞を手にした。南野が役者を目指すきっかけこそが、大島優子だ。 「アイドル時代の大島優子さんが好きでしたが、『東京タラレバ娘』を見て、全く違う性格の役を演じていて、すごい衝撃を受けました。役者さんは1回の人生でいろんなものになれるんだって」 事務所所属は決まったが、「1年くらいはドラマのお仕事が決まらなくて…」。そんなある日「マネジャーさんに事務所に呼ばれて『これに出てね』と言われて台本をもらって。何かうれしすぎて、帰り道で号泣しました」と話すと、「あっ、まずいかも?」とつぶやいた。何事かと思い南野を見ると、目には涙がたまっていた。そして「ごめんなさい。思い出したら泣けてきちゃいました」と涙を拭ったのだ。 オーバー50のオジサン記者にとっては「な、なんとピュアな!!」というエピソードとなった(笑い)。1対1の取材で、取材対象者の涙を見たのは初めてだった。仕事柄、発せられる言葉の裏を考えてしまうことが多い。そんな記者にとって、うれしかったことを思い出して涙を流せる純粋さは、自分の濁りを浄化してくれる聖水のようだった。 そんな純粋さに加え、自分の夢には妥協をせず、周りに流されることなく挑戦し、そのきっかけを手にして来た。一見おっとりしていそうだが、目の奥に感じた芯の強さは、そんな人生から来ていたと思う。南野の今後が楽しみだ。【川田和博】