三菱地所などは本年度、御殿場市の商業施設「御殿場プレミアム・アウトレット」内に、未来の移動手段として注目される「空飛ぶクルマ」のバーティポート（離着陸場）を整備する。19日に静岡県庁で開かれた県の次世代エアモビリティ導入促進プロジェクトチーム（PT）の会合で、事務局が報告した。県の3次元点群データを活用して整備を進め、2025年度中に垂直離着陸機の実機で飛行試験を行う計画。県内初の離着陸場になるとみられる。 　アウトレットの「イーストゾーン」北側の駐車場付近に、機体の格納設備や誘導路などを含めた離着陸場の整備を想定。県と同市が支援し、県は詳細な地形情報が分かる3次元点群データを活用した障害物のシミュレーション情報を提供する。 　空飛ぶクルマの商用運航に向けて離着陸場計画ガイドライン策定に取り組む国土交通省の補助事業に採択された。国交省が整備経費の2分の1以内、上限5000万円を補助する。同省は採択件数を公表していない。 　三菱地所は、空飛ぶクルマの実用化を見据えた取り組みとして22年、アウトレット内にヘリポートを設置してクルージング事業を実施したほか、東京都の実証実験にも参加。商用運航に向けたルール作りにも意欲的に参画している。 　県は空飛ぶクルマの先進導入地域を目指し、27年度の商用運航開始を目途としたロードマップ策定を進めている。同日の会合では、県内での離着陸場整備に連動した観光分野での活用に期待する声も聞かれた。県担当者は「県内で実機飛行が実現する意義は大きい。年間来場者1000万人規模のアウトレットでPR効果も期待できる」と話した。