【阪神JF回顧】上位4頭は桜花賞でも中心に タフな競馬を制したアルマヴェローチェ
2歳女王決定戦は今年もハイレベル
木曜日の出馬投票段階で抽選は2/9と狭く、重賞賞金加算がない1勝馬は2頭しか出走枠を得られなかった。ここから桜花賞が唯一の王道路線といっていい牝馬戦線らしく、今年もハイレベルな組み合わせとなり、翌春に向けた序列も着差を踏まえれば、アルマヴェローチェ、ビップデイジー、テリオスララ、ショウナンザナドゥで固まった。 【阪神ジュベナイルフィリーズ2024 推奨馬】前走は二冠牝馬に匹敵!勝率50%データ該当で盤石 メイデイレディも解説(SPAIA) 抽選突破のショウナンザナドゥ以外はこれで2勝をあげており、収得賞金900万円のビップデイジーもGⅠ・2着で春の出走枠を確保した。4着ショウナンザナドゥは除外ラインを抜けられず、トライアルでの権利獲得かオープン勝利が求められるものの、構図としてはできあがったか。 2歳牝馬GⅠで着差0秒2での勝利は2000年以降だと、2002年ピースオブワールド、05年テイエムプリキュア、16年ソウルスターリングと同じ。桜花賞の着順はそれぞれ、不出走、8着、3着。テイエムプリキュアは阪神JF不出走のキストゥヘヴンに屈し、ソウルスターリングは阪神JF3着レーヌミノルに逆転を許した。 アルマヴェローチェもGⅠホースとはいえ、着差を考えると桜花賞は決して盤石ではない。ビップデイジー以下、好走馬たちと力差のない勝負が続きそうだ。だが一方で、テイエムプリキュアはのちに日経新春杯V、エリザベス女王杯2着、ソウルスターリングはオークスを制しており、古馬になっても通用する力を証明した。アルマヴェローチェの活躍にも期待したい。
時計以上にタフな競馬
前走が札幌2歳Sだった馬の阪神JF優勝は、牝馬限定になった1991年以降で5勝目。ファンタジーSの6勝、アルテミスSの5勝に並んだ。過去4勝はビワハイジ、テイエムオーシャン、ヤマニンシュクル、レッドリヴェール。桜花賞の着順は15着、1着、3着、2着。熱発など状態が整わなかったビワハイジ以外はみんな勝負圏内。牡馬相手、開催後半の洋芝、中距離での経験は馬をたくましくする。 今年は異例の京都開催で、10週目を迎えた芝は時計こそそこそこ出るが、コンディションとしてはタフ。直前に1時間半ほど降った雨の影響も加わり、決して軽い状態ではなかった。前半600m34.2は阪神で行われた過去33回と比べても速く、これより速いか同タイムだったのは6レースのみ。19年レシステンシア逃げ切り、旧コース時代の96年メジロドーベルの先行抜け出し以外は、すべて差し馬による競馬になった。 今年も先行馬たちにとっては非常に負荷がかかる競馬といっていい。確たる逃げ馬がいないときほどペースは上がる。特にマイルGⅠではその傾向が強く出る。 前後半800m46.5-46.9はほぼイーブンも、京都では前半区間に上り、後半区間に下りが配されているから、後半46.9は時計以上にかかった。それでいてゴール前は11.5-11.4ときっちり加速ラップを刻んでおり、差してきたアルマヴェローチェとビップデイジーのタフネスは頭一つ抜けていた。3着テリオスララまでが前走から距離短縮、かつ牡馬相手を経験していたことから、今年のレースの厳しさがあらわれている。 桜花賞も楽な競馬になるとは考えづらく、上位陣はどうしたって揺るがない。もちろん、無事に体調を整えて出走するという前提はあるが。 ただし、前提通りでも、着順はこの通りとは限らない。5番手から見せ場をつくったテリオスララは母の母ハルーワソングなので、12年桜花賞2着ヴィルシーナの一族。牝馬三冠はすべてジェンティルドンナに敵わなかった。 強力なライバルがいないことを祈りつつ、一族悲願の春を目指す。兄はセラフィックコールとサンライズアース。力勝負なら負けない。父シスキンはファピアノ系の快足血統。オアシスドリーム、ザフォニックなど日本で結果を残した血が入っており、桜花賞向きだ。