メーガン妃はついに「成功の波」に乗ったのか?...「追い風」と「強運」、しかし「懸念」も
<キャサリン妃とチャールズ国王が休養。またキャサリン妃の加工写真が問題化した中で、逆に存在感を高めているメーガン妃。しかし、順風満帆とは言えない理由について>
3月14日、メーガン妃の新ブランド「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード(American Rivera Orchard)」のローンチを記念するフォトグリッドがインスタグラムに投稿され、プロフィール欄に「サセックス公爵夫人、メーガンによる(by Meghan, The Duchess of Sussex)」という文言が添えられた。 【画像】メーガン妃の筆跡に似ている「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード」のカリグラフィのロゴ 白いリネンの背景に金色の刺繍がカリグラフィになっているスタイリッシュなブランドのロゴは、メーガン妃の筆跡に似ていることはファンであれば気づくであろう。 メーガン妃がライフスタイルに関するビジネスを立ち上げるという憶測は2020年に王室離脱以降からささやかれていた。というのも結婚前からファッションや食、旅行などライフスタイルに関するブログ「The Tig」を運営していたからだ。 「ニューヨーク・タイムズ」によると、メーガン妃の代理人が「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード」に関与していることは確認されているが、事業計画など詳細については明らかになっていない。 しかし、おそらくグウィネス・パルトローやマーサ・スチュワートのようなセレブ実業家を目指しているのであろう。だが、なぜこのタイミングでのローンチとなったのか。 2020年に王室を離れ、2021年にオプラ・ウィンフリーとのインタビューとNetflixドキュメンタリー『ハリー&メーガン』公開、さらに2022年にはヘンリー王子が回顧録『スペア(Spare)』によって王室を公然と批判したことに対して、イギリスだけでなく移住先のアメリカでも夫妻の人気は急落・低迷していた。 しかし今年に入り、キャサリン妃の手術とチャールズ国王の病気による休養の発表、そしてキャサリン妃が謝罪に追い込まれた「写真加工スキャンダル」でイギリス王室は危機に直面している。そんな中で逆にメーガン妃は「運」を味方につけて波に乗っており、存在感を高めているのだ。 ■ブランド再構築 2月12日に新しいウェブサイトを発表した夫妻は経歴を更新し、王室離脱後の実績も反映。 夫妻の財団「アーチウェル・ファンデーション」など公的な組織と制作会社「アーチウェル・プロダクション」など個人ブランドとの違いを明確に分けることで、保持する称号の印象を強める目的があるとみられる。 ■ポッドキャストの新契約 新しいウェブサイトを立ち上げた翌日、ポッドキャスト会社「レモナーダ(Lemonada)」社とのパートナーシップを発表。2022年に参入してホストを務めたポッドキャスト「アーキタイプス(Archetypes)」はとん挫したが、その再挑戦とされる。 ■「インヴィクタス・ゲーム」 2月14日から16日までの3日間、カナダのバンクーバーとウィスラーを訪れ、ヘンリー王子の主要な慈善活動である「インヴィクタス・ゲーム」の2025年大会のカウントダウンイベントに参加。会合やイベントなど夫ヘンリー王子をサポートだけでなく、ファッションも注目を集めた。 ■「アーチウェル・ファンデーション」による研究支援 3月7日、「ジーナ・デイヴィス・メディアにおけるジェンダー研究所」と「マムズ・ファースト」により、メディアにおいて母親がどのように描かれており、それがアメリカ人女性の実情といかに矛盾するのかという新しい研究結果が発表された。 この研究には夫妻の財団「アーチウェル・ファンデーション」からの研究支援があり、メーガン妃は次のように述べている。 「女優としてのかつての経験、そして今はプロデューサーであり母親としての経験から、レンズの向こうとこちら側で女性と母親を支援することの重要性を強調したいのです。...「アーチウェル・ファンデーション」を通じて支援できることを誇りに思います」 ■「国際女性デー」パネリスト 3月8日、「国際女性デー」でメーガン妃は女優ブルック・シールズとジャーナリストのケイティ・クーリックらと共にパネルディスカッションに参加。 「壁を破り、物語を形作る──スクリーンの内外で女性が主導する方法」というテーマについて自身のエンターテイメント業界での経験や、オンラインでのヘイトスピーチやハラスメントとの向き合い方について語った。 ■Netflixからの賞賛 3月初旬、Netflixの共同CEOであるテッド・サランドスからヘンリー王子とともに賞賛を受けた。2020年に提携した夫妻はNetflixで3つのドキュメンタリーシリーズを制作している。中でも『ハリー&メーガン』について「フォーブス」誌にサランドスは次のように述べている。 「物議を醸すこともありますが、それはいいことです。愛されても嫌われていても見られています。...彼らは非常に強力なストーリーテラーになると思います...メディア露出の経験が非常に豊富で、注目を集めるのが上手です」 ■訴訟での勝利 2020年に行われたオプラ・ウィンフリーとのインタビューによって家族の名誉が傷つけられたとする訴訟が続いていた。しかし、3月12日、チャーリーン・ハニウェル判事は、姉サマンサ・マークルの主張を支持する発言を特定できなかったとして、この訴えは退けられた。 ■「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード」 花をアレンジしたり、ガウンでポーズを取る姿(おそらくメーガン妃)の16秒のクリップ動画には、1960年のナンシー・ウィルソンの曲「I Wish You Love」のBGMを添えてリリースされた。 インスタグラムそのものは今年1月にスタートしたが、米国特許商標庁によって「Mama Knows Best, LLC」社が2月2日に商標登録申請を行っている。 ブランドの詳細については公表されていないが、食器、料理本、リネン、ジャム、文房具、キャンドル、ヨガマット、ペットフードなどライフスタイル関連の商品やサービスが、小売りおよびeコマースで使用されることが商標登録されている。 ◇ ◇ ◇ このようにさまざまな「追い風」や「運」によって好転しているかのように見える2024年だが、批判を完全に免れているわけではない。 ヘンリー王子がアメリカの市民権を取得することについて「Good Morning America」のインタビューで答えたことは、特にイギリスで批判が高まっている。 何よりも王室を離脱したにもかかわらず、王室にまつまる称号を個人ビジネスに利用していることへの反発が大きすぎるからだ。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部