初回から最終回並みの濃さ…深澤辰哉が醸し出す“リアコ感”とは? ドラマ『わたしの宝物』第1話考察
コロッと恋に落ちてしまいそうな深澤辰哉の“リアコ感”
美羽にとって、中学生時代の“冬月くん”との日々は、ある種の心の支えだった。二人で時間を過ごすうちに、あの頃のきらきらとした時間が少しずつ戻ってくる。 久々の再会のはずなのに、もう美羽の内懐にするりと入り込んでいる冬月。「夏野(美羽の旧姓)と会えたのは、神様がくれたプレゼント」「俺にとって夏野は特別だったから」なんて言われたら、もう沼落ち確定だ。 冬月はいい意味で美羽の記憶とあまり変わらなくて、少年のような屈託のなさに彼女の心も救われていく。 そんな冬月の最も惹かれる点は、コロッと恋に落ちてしまいそうになる“リアコ感”。深澤のゆったりとした優しい雰囲気は、まさに彼にぴったり。随所に垣間見える深澤の人間性が、より冬月を魅力的な人物に仕上げているのだ。
「悪女にならざるを得なかった」美羽
物語の後半では、美羽と冬月がついに一夜をともにし、子どもを宿してしまう。それからは怒涛の展開で、アフリカに旅立っていった冬月がテロの犠牲に。 出生前DNA鑑定でお腹の子の父親が冬月とわかっていながら、宏樹に向かって「あなたの子よ」としっかりと口にする美羽の姿。第1話にして最終回並みの濃さをみせる波乱の展開には、感情がぐらぐらと激しく揺さぶられる。 非現実的ではあるものの、他人ごととは思えないし、本当にこんな話がどこかに存在しているのではないか。そう考えてしまう不思議なリアリティが本作にはあって、彼女たちの一挙一動を固唾をのんで見守らずにはいられない。 美羽は一口に悪女といっても、宏樹との関係や冬月への想い、そして“大切な宝物”の存在により、「悪女にならざるを得なかった」女性。これから彼女は、どのように二人と、そして生まれてくる子どもと向き合っていくのだろうか. 【著者プロフィール:西本沙織】 1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
西本沙織