自民改憲実現本部のWTが初会合、衆参間の「溝」解消目指すも見通せず
自民党は5日、憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)に新設した衆参両院の意思疎通を図るワーキングチーム(WT)の初会合を開いた。先の通常国会では改憲条文案を早期に作成したい衆院側に対し、参院側は各党との熟議を重視するなど見解の違いが表面化した。改憲案の国会提出を念頭に、衆参間の溝を埋められるかが焦点となる。 「自民でしっかり参院と衆院が同じ方向、同じ立ち位置でやることを徹底するために開いた」。古屋氏は初会合後、記者団にこう説明した。「党内の意見を擦り合わせないと、他党との交渉や憲法審査会の議論に支障が出る」とも述べた。WTは衆院議員5人、参院議員5人の計10人で構成。初会合では国会閉会中も憲法審の開催を野党側に求める方針を確認したという。 先月23日に閉会した通常国会で、自民の足並みはそろわなかった。 衆院憲法審では緊急時に国会議員の任期延長を可能にする改憲案の早期取りまとめを主張。一方、参院憲法審では現行憲法が定める「参院の緊急集会」の権能などの議論にとどまった。参院側には任期延長により緊急集会の意義が低下することへの懸念もあった。 改憲案を国会に提出するには党意思決定機関の総務会で了承を得る必要がある。総務会は全会一致が原則だ。党関係者はWTに関して「総務会に向けて衆参両院の認識を同じくさせるためにも必要だ」と語る。 もっとも衆参間の溝が埋まるかは見通せない。閉会後も参院自民からは任期延長案の再考を求める声が上がり、衆院自民からは参院憲法審の議論が遅れていることへの不満がくすぶる。 出席者の一人は「(衆参間で)かなり激しくやりあった」と述べ、歩調を合わせるのは容易ではないとの認識を示した。(末崎慎太郎)