水路は楽だと人気 順番待ちも濃霧で欠航も、母なるガンジスの気ままな旅
母なるガンジスの気分次第
うっすらと朝もやの立ちこめる中、砂利を積んだトラックとともに、サフィブガンジの村からフェリー・ボートに乗り込んだ。ガンジス川を渡り、対岸までの船路はおよそ2時間。しかし陸路で行くよりもずっと効率がいい。ジャルカンド、ビハールというインドの最貧困州に囲まれたこの地域には、まともな道路がない。石や岩の剥き出しになった悪路では時速10キロも出すことができないし、川を渡るにも橋から次の橋までは5時間以上もかかる。 トラックのドライバー達はみな、フェリーに乗るために、2日間この村で待機していた。1日に2往復しかしないフェリーが運搬できるのはせいぜいトラック20台ほど。その上、冬は霧が濃いのでたびたび欠航する。しかし、そんなことにはもう慣れているのだろう、岸辺の丘で順番を待つドライバー達は、慌てることもなく、運転席で寝起きしながらフェリーの到着を待っていた。茶屋でチャイをすすりながら暖をとるドライバーの一人が言った。 「このあたりは道もひどいし、数日待つはめになってもフェリーで行った方が楽だ。ジタバタしても仕方がない。マザー・ガンガ(母なるガンジス)の気分次第だ」 (2016年1月撮影)