氷見、幼なじみの結束力 30年ぶりの春にブリの街歓喜 センバツ
10年に1度の寒波に凍える日本列島に一足早い春の便りが届いた。第95回記念選抜高校野球大会の出場36校が決まった27日、あこがれの甲子園切符をつかんだ球児たちの歓声が冬空にこだました。 【センバツ出場の一報に喜ぶ各校を写真で】 富山県初となる21世紀枠で選ばれた富山県立の氷見(ひみ)は、今が旬の「寒ブリ」の水揚げで知られる氷見市内で唯一の高校。2010年、旧氷見と有磯(ありそ)の2校が再編統合して誕生した。野球部は統合前の旧氷見時代の1965年夏と93年春に甲子園に出場し、センバツは30年ぶりとなり、街中が喜びに沸いた。 新チームの部員数は17人と少数ながら16人が市内の中学出身だ。少年野球の頃から幼なじみでもあり、結束は固い。中学時代に全国大会で活躍した選手が「氷見市民を甲子園に」の合言葉の下、そろって進学した。そんな氷見ナインが教える野球教室では、小学生が生き生きとあこがれの先輩の背中を追いかけている。 一方、かつて20あった市内の少年野球チームは現在6まで減った。「子供たちに野球を続けてほしい」と、野球部員が小学生のティーボール大会に協力したり地元の中学にグラウンドを提供したりと、氷見高は野球の裾野拡大に欠かせない存在となっている。 昨夏の富山大会決勝では九回2死から逆転負けし、あと一歩で甲子園を逃した。悔しさをバネに猛暑の中で厳しい練習に励んだ結果、秋は県大会で優勝。北信越大会も8強に進出する快進撃を見せた。 吉報を受けたこの日、大沢祥吾主将(2年)は「氷見市に恩返しできるよう、勇気や感動を与えられる試合を17人全員で作り上げたい」と闘志満々。同窓会長の嶋田茂さんは「甲子園ではガンド(小ぶりのブリを指す方言)からブリに出世するような勢いで我々に大きな夢を与えてください」とエールを送った。【青山郁子】