平日は「首都圏」勤務、週末は「リゾート地」へ…ニセコでも広がる「ワーケーション」・「デュアルライフ」の可能性
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第6回 『日本の観光はニセコから学べ…「ゆるキャラやご当地グルメ」など、あれもこれも入れる「幕の内弁当」政策ではダメな納得の理由』より続く
広まる「ワーケーション」
コロナ禍で見直される働き方やそれに伴う余暇の過ごし方の変化は、国内の観光地やリゾート地にとって決して悪い話ではない。 テレワークが更に普及し、都心のオフィスへの通勤が必須ではなくなれば、移住や田舎暮らし、セカンドハウス、別荘、ホテルでのワーケーションといった動きにもつながってくる。 東京に近い軽井沢、熱海、伊豆、那須など、関西では白浜や京都、淡路島などが有力な候補になろう。 ワーケーションは、「ワーク(働く)」と「バケーション(休暇)」を合わせた造語である。テレワークの一形態ともいえ、旅行先や観光地などで休暇を楽しみながら、仕事も合わせて行うというものだ。
超魅力的な「ワーケーション」制度
たとえば三菱UFJ銀行では、2019年度から休暇を取ってリゾート地に家族などと旅行しながら仕事もするワーケーションを導入しており、軽井沢の自社保養所「軽井沢俱楽部」などが利用できる。 2019年11月には、最も早くから活動していた和歌山県や長野県などが参加して「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が発足している。 ワーケーションの広がりにより、ビジネス利用による長期滞在など新たな需要を、観光地・リゾート地などは得ることができる。 ニセコでも、たとえば俱知安観光協会では、ニセコ町にあるニセコ中央倉庫群をシェアオフィスとして貸し出しており、エリア内にある高級コンドミニアムやホテル、貸別荘などさまざまなタイプの滞在施設をワーケーションの利用施設として紹介している。