二刀流復活へ影響は? 「復帰は通常半年」と有識者 ドジャース・大谷翔平が左肩を手術
米大リーグ・ドジャースは5日、大谷翔平が左肩の手術に臨んだと発表した。大谷はヤンキースとのワールドシリーズ第2戦、二盗を試みた際のスライディングで左肩を負傷。球団は手術の成功と来年2月のキャンプ合流見通しを明らかにしたが、今後の影響を含め注目は集まる。有識者に見通しを聞いた。 【写真】ドジャースがリーグ優勝を果たし、愛犬を抱いて笑顔を見せる大谷翔平の妻、真美子さん ■執刀はブライアントら担当の名医 大谷の症状は当初、亜脱臼とされていたが、実際には関節唇断裂という重傷だった。関節唇は通常、肩関節が上下などにぶれないよう支える役割を果たすひだで、膝でいえば靭帯にあたる。投手のように肩を酷使したり、相手選手や地面との接触などではがれたりすることがある。今回のケースは後者とみられる。 「原因は亜脱臼。現象としては関節唇断裂ということ。おおむね、けが当初の触診で分かるが、どれぐらいの比率か、正確な場所はどこかというのは精密検査で分かる」。苑田会人工関節センター病院(東京)の杉本和隆病院長はそう推察する。 手術自体は肩にストローぐらいの穴を3カ所ほど空けてアンカーというたんぱく質のねじを植え込んで固定するもので所要時間は約30分。杉本氏によると、難易度は高くなく、「懸念するとしたら切開部分の縫合。きつく縫えば回復時に皮膚が突っ張り、スポーツ選手の場合、可動域の制限からじゃまになる危惧があるくらい」という。 執刀医は整形外科医のニール・エラトロッシュ氏。米プロバスケットボールNBAの元選手、コービー・ブライアント氏や米プロフットボールNFLの元選手、トム・ブレイディ氏らスポーツ界のスーパースターの現役時の手術でメスを振るい、2018年と23年の大谷の右ひじ手術も担当した名医だ。 ■「通常より早い復帰」に 今後の影響はどうか。球団などによると、大谷は来年2月中旬のキャンプに間に合うとしているが、杉本氏は同手術からの復活には約半年がかかるとし「通常より少し早いと思う」と話す。組織の修復に3カ月、正常な動きへの復帰に3カ月というのが目安だからだ。 大谷は右投げ左打ちだが、打者として外角低めの球に対応する際には左ひじに負担がかかり、痛みを我慢すれば肩の骨に穴が空くという懸念もなくはないという。プロのアスリートはけがとどう付き合うかが問われるが、杉本氏は「大谷選手はインナーマッスル(体の深部にある筋肉)が大きい。肩の内部を支える筋肉もより充実させるだろう」と推測する。
ワールドシリーズ制覇を遂げ、来季は投打での二刀流に期待が高まる大谷。世界最高の選手がけがを再び克服しフィールドに帰ってくる姿をファンは待ちわびている。(五十嵐一)