新規就農は年100人以上 〝担い手支援日本一〟めざす山口県の取り組み
独立後の課題は
一方で、独立して自営就農する場合、農地の確保や、栽培技術の習得が課題になる。 広島市農林水産振興センターでは、就農地をあらかじめ確保し、ハウス約30アールをJAや市が建てた上で新規就農者にリースする。就農地に困らず初期費用を抑えた就農が可能となり、全国から就農希望者が集まる。1997年から始まった同制度で、これまでに62人が受講。51人が今も農業経営者として、地域農業をけん引する。 同センターで約2年の研修の後、就農する。品目は小松菜などの葉物野菜。消費地に近く、年7作できる点を踏まえた。同センターは「もし栽培に失敗しても、次の栽培でカバーできる」(農業担い手育成課)とメリットを語る。
取材後記
“担い手支援日本一”この称号を全国で競うように掲げてほしい。15年に山口県がこのスローガンを掲げ、既に10年目。県農業振興課は「各県の支援内容をリサーチし、新しい施策を模索している」と話す。 山口県は農家の高齢化率も日本一だ。農業をなりわいとする基幹的農業従事者の平均年齢が全国一の72・3歳。5年ごとの農林業センサスで10年、15年、20年と3回連続で記録を更新している。 県やJA関係者は「農家が元気で生涯現役なのは自慢なこと」と話す一方で、人手不足や高齢化に悩む地域に若い人を送り込む必要性を強調する。魅力ある農業へ人が集まるように、もう一段ギアを上げる環境づくりが必要だ。(大森基晶)
日本農業新聞