傷ついて「帰国」したハイマース2台、ロシアにやられた初めての証拠か
<トラックの荷台に載せたランチャーから多くのロシア兵器を破壊してきたハイマース、修理のための帰国とされる動画が初めて公開された。もし本当なら、ロシア軍がハイマースに傷をつけた最初の証拠になる>
損傷を受けた2台の「ハイマース(HIMARS)」が、修理のためにウクライナから米国に到着したところと見られる新たな動画が浮上した。ウクライナが運用する高機動ロケット砲システム(ハイマース)が損傷を受けたことを示す最初の証拠になりそうだ。【エリー・クック】 【動画】傷ついたハイマースの帰国 問題の動画は、オープンソースのインテリジェンス・アカウントがソーシャルメディア上に掲載したもので、大型の戦略輸送機に積まれた2台の「M142ハイマース」が、ペンシルベニア州の空港に到着したところとされている。 ハイマースのうち1台は、爆弾の破片による損傷を受けたように見える。もう1台はキャビンが大きく損傷し、片側の車輪ひとつがなくなっているようだ。あるオープンソースのアナリストは、ウクライナで地雷を踏んだ可能性があると推測しているが、確認できていない。 ニューズウィークは、ウクライナ軍と米国防総省にEメールでコメントを求めている。 ■激化するロシアのドローン攻撃 この動画は、たしかに2台のハイマースを映しているように見えると語るのは、キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部の博士研究員マリーナ・ミロンだ。ロシア軍は、複数地域でウクライナの前線突破に力を入れていたことから、少なくとも1台のハイマースを損傷もしくは破壊した可能性はある、とミロンは本誌に話した。 ロシア軍は、偵察ドローン「オルラン10」や徘徊型自爆ドローン「ランセット」などの使い方が上手くなっており、ウクライナの装甲車両や兵器の攻撃能力は、以前よりもはるかに高まっているとミロンは続けた。 ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した2022年2月以降、米国は、440億ドルを超える武器支援の一環として、ハイマース39台をウクライナに供与した。ハイマースは2022年夏以降、ロシアの軍事基地やインフラ、弾薬庫といった重要資産を攻撃し、活躍した。 ハイマースは、トラックの上に搭載する最新鋭ミサイル発射装置で、移動しながら標的を絞ることができる。