【速報】”神の使い”奈良のシカの『飼育環境は不適切』奈良県が調査発表 獣医師が”虐待”を通報、県は「総じて痩せ、雄ジカ死亡頭数の割合高い」
シカの保護施設「鹿苑」を管理する「奈良の鹿愛護会」が『十分なエサを与えず、7割以上を飢餓状態にさせ、さらに年間50頭以上の雄鹿を死なせるなどの虐待が行われている』などシカを虐待しているとして、会所属の獣医師が9月に奈良市に通報していました。 【LIVE】奈良のシカに虐待か『十分なエサ与えず飢餓状態』調査結果を報告 県は、国際水準とされる「動物の5つの自由=①飢え、渇きからの自由②不快からの自由③痛み、負傷、病気からの自由④本来行動がとれる自由⑤恐怖・抑圧からの自由」を指標に、シカの管理状況について獣医師ら4人で評価しました。 その結果、鹿苑のシカは「5つの自由」全てに抵触していて、特別柵内における鹿の収容環境は不適切であると判断しました。総じてやせていて、とくに雄ジカが細く、死亡頭数の割合も高いということです。また、特別柵内の収容数が適正飼育頭数を超過していて、現在の対応方法には限界があるとしました。
エサは「優位な個体が優先的に占有」
具体的な問題として、以下のような点があげられました。 ◎(栄養価の低い)乾燥牧草の給餌が主体で栄養価の高い(タンパク質含量の多い)牧草や配合飼料がほぼ与えられていない。 ◎一斉に一カ所で給餌するため、優位な個体が優先的に占有し、ありつけない雄が多い。 ◎角の形がいびつで形成不全の雄個体もいて、栄養不良に起因するものと推察。 ◎全体的に毛に色つやがなく、毛並みが荒れて、栄養不良に起因するものと推察。 ◎昨年度、特別柵内で死亡した雄ジカの死亡時の平均体重は40.1kgで平均推定年齢 は5.5歳。雄の体重は通常60~70kgで15歳くらいまで生存することを考えると、体重低下が著しく、短命。
愛護会への聞き取り「不十分な面は認識も、限界がある」
いっぽう愛護会の職員は、聞き取りに対して以下のように回答したということです。 「農業被害を出した鹿も収容しているが、放すことができず、収容頭数が許容能力を超えている。鹿が痩せている認識はあるが、元々、野生に近い鹿であり、原因は餌だけの問題ではなく、環境に馴染めないことによるストレス等が大きいと認識している。当会の管理に不十分な面があることは認識している。ただ、当会の金銭的、人的な事情もあり、限界がある。」 奈良県は、飼育状況が「動物の5つの自由」の全ての指標に抵触しており、これを放置していたことについては、奈良の鹿愛護会の責任が重いとしました。 いっぽう、自ら主体的に飼育状況の把握をしてこなかったことについて、奈良県にも一定の責任があるとしました。 今後はまず、特別柵内の環境改善について、早々に取り組みたいということです。