劇場で観るべき理由を解説『WEST. 10th Anniversary Live "W" -Film edition-』レビュー
2024年にデビュー10周年を迎えたWEST.のライブを映し出した劇場版『WEST. 10th Anniversary Live "W" -Film edition-』が絶賛公開中だ。映画館で見るべき理由や、ライブとは異なる視点で感じられる本作の魅力に迫る。(文・柚月裕実)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】 【写真】メンバーの熱気に圧倒される…貴重な未公開カットはこちら。『WEST. 10th Anniversary Live』劇中カット一覧
追加曲&舞台裏映像も公開
WOWOWで放送・配信されたオリジナルライブの劇場版『WEST. 10th Anniversary Live “W” -Film edition-』が11月22日の公開から3日間で、約9万2500人を動員し興行収入2.2億円を達成。興行収入ランキングでは第1位、動員数ランキングでは4位を記録した。(興行通信社発表) 劇場版では、既に放送で披露した19曲に加えて2曲を追加。さらに未公開の舞台裏の様子などを盛り込み、劇場用に全編再編集したプレミアムな作品となっている。 筆者が視聴したのは、東京・日比谷「TOHOシネマズ 日比谷」のスクリーン5。ここは16.5×6.9mサイズのTCX®という巨大スクリーンが設置され、音響はDOLBY ATMOS対応という音楽をメインにした作品にとっては好条件と呼べる環境で鑑賞した。
映像の端々から感じるメンバーの絆
どんな作品でも大きなスクリーンで迫力ある映像が見られるのは映画館の醍醐味だが、本作も同様にメンバーひとりひとりの表情に迫るカメラワークによって、まるで目の前でライブを見ているようなメンバーとの距離の近さがたまらない。ドーム公演での大きなモニターとも違う、この没入感は映画館ならでは。 熱い歌唱が印象的なWEST.。楽曲の世界観に合わせた歌唱はもちろんのこと、特に胸を打ったのがメンバーによる息ぴったりの歌唱だ。 「証拠」のようにメンバーが息をスッと吸い込むのを合図にして歌い始める楽曲では、重岡大毅、桐山照史、中間淳太、神山智洋、藤井流星、濵田崇裕、小瀧望の7人構成でありながら、その歌い出しが完全一致というほどにタイミングが合っている。 もちろん歌い慣れていること、タイミングを合わせていることもあるだろうが、それ以上の“阿吽の呼吸”を感じるのだ。わずかな瞬間もしっかり捉えることで、そんなところからも彼らが歩んできた軌跡やメンバーの絆を感じた。 セットリストもライブの構成やCDアルバムのプレイリストとも違う、冒頭から思い切ったラインナップに驚かされる。これも歌唱力があるWEST.だからこそ実現したのだろう。 さらに、ストリングスやバンド演奏と共にパフォーマンスする楽曲も多く、映画館の様々な場所に設置されたスピーカーから放たれる音が会場全体を包み込むような立体感があった。丸みのある響きや力強さ、音の濃淡や立体感にDOLBY ATMOSの凄みを感じた。まるで目の前でライブを見ているような没入感は、会場を後にしてもしばらく余韻を残した。 近年では音楽フェスへの出演も叶えてきたWEST.。音楽番組等で目にする歌唱パフォーマンスの印象が強いかもしれないが、彼らのダンスにも注目。 一部の楽曲ではミュージカルのようなストーリー性を強調したパフォーマンスを披露したり、またWEST.らしいコミカルな楽曲があったり、様々なジャンルの楽曲を通して心を揺さぶる。 さらに、彼らの後輩である、関西ジュニアの伯井太陽とのコラボレーションでは、伯井のコンテンポラリーダンスを前面に、夢追い人を応援するWEST.という世界観へ立ち位置を変える一幕も。1つの楽曲を様々な角度から堪能できるのだ。